老後の生活の要となる年金だが、現役時代に間違った行動をすると、もらえる金額が減ってしまうことがある。特に、企業型DCに入っている人は、制度の仕組みをよく知っておかないと厚生年金が減ってしまうかもしれない。年金のもらえる額が減ってしまう行動には、どのようなものがあるのだろうか?
国民年金でやってはいけないNG行為
国民年金は法律で加入が義務付けられており、一定期間の加入で年金の受給資格を得る。国民年金でやってはいけないことには次の2つがある。
国民年金加入の手続きをしない
国民年金は日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人に加入の義務がある公的年金制度だ。 10年以上の加入で年金受給資格が得られる。
国民年金には老齢基礎年金のほか、障害基礎年金や遺族基礎年金もある。しかし未加入者はいずれも受給資格がなく、老齢期や万が一の場合にお金に困る可能性が高くなる。
年金定期便を確認しない
毎年届く年金定期便を確認しないこともやってはいけないことだ。
年金定期便は年金の加入実績に応じた年金額等が記された重要な書類だ。
また、50歳を超えると「年金受給見込み額」が記載され、老後のマネープランを立てる上でさらに重要度が高くなる。
年金定期便が届いたら、必ずその内容をすべてチェックしよう。それをもとに老後のマネープランを立てるのがよい。
「厚生年金が減る!」選択制DCの落とし穴と対策
企業型DCは通常、掛金を勤務先が出してくれるが、従業員が負担することもでき、その場合、所得税や社会保険料が少なくなり手取りが増える。これを「選択制DC」という。お得なようだが、注意点もあって、将来の厚生年金が減ってしまうかもしれない。
給料の一部をDCの掛金にするか、そのまま受け取るかを選べる
選択制DC(確定拠出年金)は、給料の一部を年金の掛金にするか、そのまま給料として受け取るかを従業員が決める(選択する)制度だ。
DCの掛金となる給与の一部は「ライフプラン手当」「生涯設計手当」のような名目で再定義され、その部分をどうするかを従業員が決めるのが選択制DCの仕組みとなる。
ライフプラン手当が3万円だとして、3万円を給料のまま受け取ることもDCの掛金にすることもできる。3万円のうち1万円だけをDCの掛金にもできるのだ。DCの掛金を選ぶと、その分給料が少なくなる。
DCの掛金にした分は会社が支払った「掛金」と見なされ、給与ではなくなるが、手取りは増える。
なぜなら、DCの掛金分は所得税や社会保険料の計算の対象ではないためだ。
掛金の部分には税金や保険料がかからないので、給料としてもらったお金を自分で投資に回すよりは有利といえよう。給料には税がかかっているからだ。
DCの掛金にすると将来受け取る厚生年金が減る
この仕組みでDCの掛金を増やすと社会保険料の負担が減るものの、デメリットとしては、将来の厚生年金も減ってしまうことがある。
厚生年金以外にも減るものとして、「傷病手当金」「出産手当金」「失業給付」などがあり、注意が必要だ。
たとえば、30歳、税込み年収400万円、掛金月額2万円での1年間の手取り増加分を概算すると、5万8,032円となる。
これは所得税や住民税、社会保険料の減った負担額だ(60歳まで給与が変わらないと仮定)。
税金・保険の種類 | 負担がいくら減るか |
---|---|
所得税 | 8,100円 |
住民税 | 1万6,200円 |
社会保険料 | 3万3,732円 |
合計(増える手取り額) | 5万8,032円 |
30年間同じ掛金を支払い続けると、約174万円の負担減となる。
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「厚生年金が減る!」選択制DCの落とし穴と対策
文/編集・dメニューマネー編集部
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