立ったまま手を使わずに履ける「スパットシューズ」が人気で、販売する靴量販店「東京靴流通センター」を運営するチヨダ <8185> だけでなく、ABCマート <2670> も業績が好調だ。なぜ靴が売れているのだろうか、その理由に迫る。
チヨダの株価は好業績で3年ぶり高値¬¬¬
靴量販店業界2位で東京靴流通センターを運営するチヨダ <8185> が7月14日に好決算を発表した。
2024年2月期の第1四半期(3〜5月)の売上高は5%増の254億円、本業の利益である営業利益は3.7倍の15億円と急拡大した。
会社は通期予想を据え置いたが、通期予想の営業利益7億円をすでに2倍以上上回っており、上方修正の可能性が濃厚だ。株価は好決算を好感し、翌18日に6.5%高と急騰。21日には3年ぶりの高値をつけ、決算発表後の上昇率は一時13%に達した。
大幅増益の理由は付加価値の高い靴の売れ行きが好調で、利益率が大幅に上昇しているためだ。
第1四半期の既存店売上は9.4%増。主力プライベートブランド「セダークレスト」のソフトな素材と屈曲性にこだわった「ストレッチビジネスシューズ」、防水・透湿「ユーティリティスニーカー」、立ったまま手を使わずに履ける「スパットシューズ」など、消費者の使い勝手を考慮し自社開発した高採算のプライベートブランド(PB)が売れている。春には元AKB48の高橋みなみさん(同社イメージキャラクター)出演のCMも放映している。
コロナ規制が撤廃され、外出機会が増えたため、新しく靴を買った人が多かったのだ。
第1四半期の営業利益率は5.9%と前年同期間の1.7%から大幅改善している。コロナ前の2019年の同期間の営業利益率4.7%を上回った。
業界最大手のABCマートも好調
靴が好調なのは東京靴流通センターだけではない。業界最大手のエービーシー・マート <2670> も好調だ。チヨダに先駆けて7月12日に発表したABCマートの決算は売上高が28%増の885億円、営業利益が60%増の168億円だった。
売上が28%も伸びているのは、連結対象にスポーツウェアで100%子会社のオッシュマンズ・ジャパンを加えた効果が大きい。加えてコロナ後の外出機会の増加、インバウンド需要の回復による売上高・利益の増加に貢献している点も大きそうだ。
第1四半期の既存店売上は20.4%増、営業利益率は19.1%と前年同期間の15.2%を上回った。
ABCマートも通期の業績予想を据え置いたが、営業利益通期予想の440億円に対する進捗率は38%とチヨダには劣るが第1四半期としてはハイペースだ。
ABCマートの株価はすでに5月に過去最高値をつけており、決算後の反応はチヨダが上回るが高値圏での推移となっている。
靴は売れれば利益率が大幅に高まる
靴量販店ビジネスにおけるコストは固定費がかかるため、靴が売れれば売れるほど利益が積みます収益構造となる。今回、大手2社ともにコロナ禍による不採算店の整理と固定費削減の企業努力を重ねてきたところに売上増(値上げ効果も含む)となり、利益の上昇が売上の上昇を大きく上回っている。
過去の通期での営業利益率のピークは、収益力の高いABCマートで約22%、チヨダは約8%だった。第1四半期はABCマートで19.1%、チヨダで5.9%。チヨダは固定費が高いため、さらに改善余地がありそうだ。毎月初に発表されるチヨダの既存店売上速報には注目だ。
文/編集・dメニューマネー編集部
画像・チヨダ プレスリリースより
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