生命保険は、“夫の万が一”に備えて加入するケースが一般的ですが、共働き世帯では“妻の保障”も考える必要があります。現役世代が亡くなる確率に男女の差はあまりなく、妻が亡くなった場合の経済的ダメージは、夫が亡くなった場合よりむしろ大きくなるおそれもあるからです。
妻を亡くした夫は遺族年金を受け取れないことも
厚生年金に加入する妻が亡くなると、残された夫が遺族年金を受け取れるケースは限られます。
たとえば、妻の死亡時に夫が50歳で子供が全員18歳以上の場合、夫が受け取れる遺族年金はありません。
一方、夫の死亡時に50歳で18歳未満の子供がいない妻は、遺族厚生年金と中高齢寡婦加算を受けられます。
遺族厚生年金は亡くなった人の老齢厚生年金の4分の3で、中高齢寡婦加算は年額59万6,300円です。遺族厚生年金が年額50万円だとすると中高齢寡婦加算との合計は約110万となります。
もし夫婦の収入が同じくらいだった場合、妻が亡くなるケースではこの110万円がそっくり受け取れないわけです。
死亡保険金額は遺族年金をもとに考えるため、遺族年金のないケースでは保障のニーズは高いといえます。
妻が亡くなっても夫名義の住宅ローンは残る
夫婦がペアローンではなく、夫名義だけの住宅ローンを返済している世帯で、妻が亡くなった場合、妻の収入がなくなり住宅ローンは夫名義なのでまるまる残ります。
これに対し、夫が亡くなった場合は団体信用生命保険によって住宅ローンが完済され、妻は住居費を心配せずに生活できます。
2人分の収入で家計を回していた世帯の働き手が1人になると、住宅ローンや教育費を支払っていくのは大変です。妻が亡くなった場合、せめて夫の住宅ローンが完済できる程度の保険金があれば、家計は助かるのではないでしょうか。
共働き夫婦は妻の死亡リスクに備えるべき
生命保険の加入目的で「死亡したときのため」は、男性が40.2%で女性が約半分の20.0%です(生命保険文化センター「2022年度生活保障に関する調査」)。
しかし、妻の死亡リスクを深く考えずに、妻が死亡保険に加入せず、夫だけの加入だと、妻にもしものことがあったときの経済的ダメージは小さくありません。そういう夫婦は、今からでも保険の見直しをしたほうがよいでしょう。
文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
【関連記事】
・「老後破産」しないために読みたい
・ブラックリストでも作れるクレカ5選【PR】(外部)
・今持っている株を売って新NISAで買い直したほうがいい?
・会社に転職活動がバレない転職サイトの機能
・「dジョブスマホワーク」で高ポイントをもらう方法