「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがありますが、投資家は“儲かる桶屋”を探しています。
株価は必ずしも企業の業績などと連動しておらず、売り上げが高くなったら株価が上がるというわけではありません(逆もまた然りです)。だから、投資家はいろいろな連想をして、一見関係ないようなことにも意味や株価との因果関係を見出し、他人よりもいち早く投資しようとします。市場はさながら“連想ゲーム場”ともいえます。
時にはその連想の幅は驚くほど広く、振り返って分析してみると、「そんな連想が成り立つの?」と驚かされます。ここ数年の間にあった連想買いの事例には、次のようなものがあります。
「コロナ禍による巣ごもり」で買われたJストリーム、オイラ大地、出前館
新型コロナウイルスの拡大で、外出せずに自宅時間を楽しむ「巣ごもり」が広がり、多くの銘柄の上昇につながりました。
ネット動画配信のJストリーム <4308> は、企業や個人の非接触ニーズやオンライン動画配信への需要がコロナで高まるとの期待で買われました。株価はコロナが広がり出した2020年初の363円から、20年12月ごろに高値は3420円をつけるなど、9倍以上に値上がりしました。
そのほか、人々が買い物や外食を控える巣ごもりの増加の期待で、有機野菜などの食品宅配サービスのオイシックス・ラ・大地 <3182> やネット出前代行の出前館 <2484> もコロナ禍で株価が大きく上昇しました。
ただ、コロナ禍が落ち着きをみせ、人々の外出の機会が増えてくる中で、これらの銘柄の株価は高値圏からは下がってきています。
「訪日外国人による内需」で寿スピリッツ、高島屋、富士急行
コロナ禍が落ち着くことを見越して買われた銘柄もあります。海外からの渡航規制がなくなり、外国人の訪日件数が増えるといった連想です。
有名な北海道発のチーズケーキ店「ルタオ」を手がける寿スピリッツ <2222> は、空港や各地での売り上げが伸びるとの期待が続きました。実際に経済回復で売上高も伸びていることもあって株価は7月19日に上場来高値の1万1420円に達しました。
そのほか、コロナ禍が落ち着くと同時に円安が進んでいることから、外国人が高額商品を買うとの期待から、高島屋 <8233> などの百貨店も買われました。
また、国内の移動や宿泊などのコト消費が盛り上がるとの連想で鉄道やレジャー、宿泊施設の富士急行 <9010> 、JR九州 <9142> などの株価が上向く場面がありました。
「解散総選挙」への期待でムサシ、イムラ
6月には、「衆議院の解散総選挙が行われるかも」との憶測が広がり、関連銘柄が買われました。選挙で使う投票用紙の仕分けや計数機器を手がけるムサシ <7521> は、解散観測報道で株価は、5月の安値1603円から6月の高値1905円まで1ヵ月で約2割値上がりしました。
封筒メーカー最大手のイムラ <3955> もダイレクトメールなどの需要が伸びるとの期待で同じ期間に株価は値上がりしました。
しかし、岸田文雄首相が解散を見送る考えを明らかにすると、これらの銘柄は翌日以降大きく売られました。こうした動きは選挙の観測が高まるたびに起きています。
「WBC」で大谷翔平選手からの連想でこんな銘柄も……
3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での侍ジャパンの活躍が報じられるとともに不思議な値上がりを見せたのは、意外な銘柄です
米エンゼルスの大谷翔平選手を連想させる「大谷」を冠した架線金物などのメーカー、大谷工業 <5939> の株価が急騰。大谷選手とは関係ないにもかかわらず、株価は2月末に4200円くらいだったものが、3月の高値1万6050円まで約4倍弱まで短期間で値上がりしました。
このように株式市場では、“こじつけ”としか思えないような連想が働くことがあります。
文・北川茂樹(Webライター)
編集・dメニューマネー編集部
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