薬を個人輸入する人が増えていますが、トラブルは少なくないようで、ファイザーやバイエルなど製薬会社が発表した報告では、ネットで買ったED治療薬の約40%が偽造品だったといいますし、別のアンケート調査では利用者の11%がトラブルになったと答えています。どういう医薬品が個人輸入で買われていて、どういうトラブルが起きているのでしょうか。
個人輸入で多いのはピル
そのアンケート調査は昨年、20〜50代の男女約200人に聞き取りをしており、個人輸入の認知率は20.1%で、そのうち利用経験者は8.5%。どんな医薬品を買ったかについては、最多はピル。続いてスキンケア、デンタル、ED・候治療、薄毛、抗生物質などが挙がりました(複数回答)。
利用者のうち11.8%がトラブルに巻き込まれていますが、一方で、不安だがそれでも使い続けるという人はしかないという人もそれなりにいたようです。
そもそも調査件数が少ないため、参考程度ととらえるべきでしょうが、それでも傾向としてはつかめます。
男性にはEDやAGAの治療薬が人気
冒頭で触れたように、ED治療薬は個人輸入でも人気の医薬品です。なぜかというと、国内で買うと高いからです。
たとえば有名なバイアグラは1錠(50mg)が1500円前後します。ED治療薬は医師の診察を経て処方されないと買えないので、このほかに診察代がかかります(ED治療は、保険が適用されない自費診療のため、バイアグラも一部の不妊治療に使う場合を除いて保険は効かない)。
そこで薬代が安くなるジェネリック医薬品を選ぶ人も多いようです。ジェネリック医薬品は先発医薬品の特許が切れた後に発売される医薬品で、有効性が同等と認められ先発医薬品と比べて価格が安い医薬品。
国内で承認されたED治療薬はバイアグラ、シアリス、レビトラと3つありますが、すべての先発医薬品にジェネリックがあります。バイアグラ(先発医薬品)のジェネリックはシルデナフィル。シアリスのジェネリックがタダラフィル。レビトラは販売中止されており、ジェネリックのバルデナフィルのみ販売されています。
たとえばバイアグラのジェネリックであるシルデナフィルは、1錠(50mg)が1000円弱で買えます。
それが海外産ジェネリックの個人輸入であれば、1錠(50mg)が400〜600円ほどと、国産ジェネリックの半額以下で買えます。まとめて買えば400円を切りますし、さらには診察を受けずに買えます。日本国内で認められているバイアグラの用量は25mgと50mgだけです。
このほかにもAGA(男性型脱毛症)の医薬品も人気ですが、これは継続して使う必要があるため、個人輸入してコストを抑えたい人が多いからでしょう。
個人輸入した薬を使うときの注意点
安いというメリットはありますが、ネットで買った薬からは偽造医薬品も多く見つかっており、服用した人の中には健康被害も報告されています。メーカー品に似ている医薬品も多いため、個人で真偽を見極めるのは難しいでしょう。
そもそも海外で作られた医薬品は、日本と同じ基準で作られているわけではありません。中には、不衛生な施設で医薬品が作られている可能性もあるようです。
国内で認可された医薬品を適正に使って副作用が出たときは、医薬品副作用被害救済制度によって救済されますが、個人で輸入した薬を使って万が一副作用が出た場合、すべて自己責任です。
医療費として確定申告できるのか
医療費が1年で10万円以上かかると医療費控除が適用され、確定申告で税金が戻ってくる仕組みがありますが、個人輸入した薬の購入費用は対象外です。
しかし、医師の判断で治療が必要とされたED治療薬の費用は医療費として確定申告ができます。
薬の個人輸入はメリットよりもデメリットのほうが大きいため、ひとりで判断せずに、医師や薬剤師などの専門家に相談したほうがよいでしょう。
文/編集・dメニューマネー編集部
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