投資を経験したことがない人の中には、「投資ってギャンブルでしょ?」と思っている人もいるでしょうが、同じわけではありません。初心者はギャンブルや投機より、堅実な投資を心がけたほうがいよいでしょう。その違いを知るには、過去に起きた「バブル」相場を振り返ると分かりやすいです。
バブル期には資産や商品に考えられない値段が付く
バブルとは「泡」のことで、経済や景気について使う場合は、実体経済とはかけ離れた一種のお祭りのような状態・相場のことをいい、これまでに何度も起きています。
たとえば“バブリー”という言葉につながった、昭和後期の不動産バブル。2000年前後にはITバブル(ドットコムバブル)。古くは、17世紀オランダのチューリップバブル。当時は、球根1つが家を買えるほどの高値で取引されたといいます。
バブルの特徴は、参加者が大きく増えることです。日頃は投資に無関心だった人も入ってきて参加する人の数が増え、皆が強気になります。
1987年ごろの不動産バブル期には、不動産の価格が大きく値上がりしましたが、株式市場でも強気相場となり、日経平均株価は1989年の12月29日に、史上最高値の3万8915円をつけました。日本電信電話 <9432> (NTT)株の売り出しに申し込みが殺到し、売り出し価格の120万円に対して、上場時の初値は300万円を超えました(株式分割は考慮せず)。
当時は、それまで株式投資をしたことがなかった人もこぞって、家族の名義を使ったり、あちこちからお金をかき集めたりして、株式の売り出しの抽選に申し込んだのです。
当時、「財テクブーム」とも呼ばれましたが、多くの人が「なぜ上がるのか」をよく考えることもなく、「絶対上がるから」とこぞってお金を投じました。
こうした行動は“投資”というより“投機”です。投機とは経済環境や業績などのファンダメンタルズ(基礎的条件)を無視し、短期で値上がりするとの期待だけで売買を行うことと言えます。
ヤフー株が1億円以上になった
その後もバブルは生まれては消えています。2000年前後に起こったインターネット黎明期のITバブルでは、ネットに関連する企業が異様な人気となり、株価が大きく上昇しました。たとえば、1997年に初値200万円で株式を公開したヤフー(現在のZホールディングス <4689> ) は、2000年に1株の株価が1億円を超えています。この時、IT企業というだけで値上がりし、中には数年で50~100倍以上まで値上がりした銘柄もありました。
ただこれらの値上がりが一過性のものであることは、その後の急速な値下がりで分かります。
不動産バブルの後は、株式は幅広い銘柄が売られ、バブル期高値の翌年の1990年の日経平均株価は年間で39%もの下げとなりました。
ITバブルの後は IT関連株は軒並み暴落しました。当時、携帯電話販売で人気だった光通信 <9435> の株価は2000年の高値から1年もしないうちにおよそ100分の1になりました。
こうしたバブル相場の中で、大儲けした人もいる一方で、よく分からずに大金を投じて、あっという間にお金を失った人も少なくありません。
株式投資は企業の成長の果実を積み上げて長期リターンを狙う
こうした歴史から学べるのは、バブルの最中に多くの人がした行動のように、根拠がなく「儲かりそうだ」という理由だけでお金を投じても、資産を増やせるかどうか分からないこと。そして、そうした行為は「投機」であって「投資」とは言わないということです。
「投資」である以上、資産が絶対に増やせるとは限りません。しかし、少なくとも株式投資は、成長が期待される企業や市場にお金を投じ、そこで生まれた付加価値から果実を得るという長期の資産形成法です。
投機はゼロサムゲーム。必要だが初心者には難しい
投資と投機には、付加価値を生むかどうかという違いがあります。
投機は「ゼロサムゲーム」とも言われます。サムは合計のことで、要は、ゲームの参加者の利益と損失をあわせるとゼロになるというものです。誰かの得は誰かの損が移転しただけで、そのゲーム自体は、新たな価値を何も生み出していません。たとえば為替(FX)はその一例です。
勘違いされないよう断ると、投機が悪というわけではありません。必要なことです。ただし、大儲けできる可能性はありますが、大損する危険性も同じだけあり、初心者にはあまりおすすめはしにくいです。
これに対して投資は「プラスサムゲーム」です。国や企業に投資すると、そのお金を原資にして、その国の経済が発展したり、企業が売り上げを上げたりできます。新たな価値が生み出されるのです。
初心者が大切なお金を投じるなら、「なぜ上がるのか」が説明できないようなものや、誰かの損を前提とした、資金を投じても何の成長や付加価値を生み出さない“投機”より、投じたお金を活用した国や企業が成長し、新たな価値を生み出してくれる“投資”のほうがよいでしょう。
投機が行き過ぎるとバブルが生まれ、バブルは必ずはじけます。ただ、いつ弾けるかは分かりませんし、バブルの最中にあっては、バブルがふくらんでいることすら、分からないものです。
文・北川茂樹(Webライター)
編集・dメニューマネー編集部
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