相続税対策が無効になると、相続税を払わなければならなくなることがあります。相続税を申告しておらず、調査が入って支払われた税金の1件あたりの平均は約1,300万円ということが国税庁の統計(2021年調査)で分かっています。相続税対策になると誤解されている3つの行動を知り、あとから多額の税金を払わなければならなくなるのを避けましょう。
1 預金からお金を引き出す
預金からお金をおろし、現金として手元に隠しておく、いわゆる「タンス預金」なら税務署にバレないと考える人がいます。
しかし、税務署は金融機関に対し調査する権限を持っており、さかのぼって預貯金の取引履歴が見れます。不自然な入出金があれば、調査で使い道を確認される可能性が高まります。
タンス預金を申告せずに相続することは脱税で、違法行為です。税務署に知られると、延滞税や加算税などの税金が罰則として増えることに加え、懲役や罰金が科されて前科がつくおそれもあります。
預金を少なく見せる目的でお金を引き出すのは絶対にやめましょう。引き下ろしたお金があるときは、現金として相続財産に含めて申告しましょう。
2 死期が近づいてから贈与する
亡くなる前3年間の相続人への贈与は無効となり、贈与した分も相続財産に戻して相続税を計算しなければなりません。そのため、病気などで死期が近づいているのを察してから子供に贈与しても、相続税対策として意味がなくなることがあります。
1人あたり年間110万円までの贈与なら贈与税がかかりません。110万円ずつ子供に贈与すれば財産を減らせるということは、多くの人が知っているでしょう。
しかし、3年以内の贈与が無効になることは意外と知られていないため、容体が悪化してからあわてて贈与を始めたものの、意味がなくなるというケースがあります。
また、法律が改正され、2024年以降の贈与は相続財産に含めなければならない期間が死亡前3年間から7年間に延長される予定です。
贈与で相続税対策をしたいなら、なるべく元気なうちに始めましょう。また、亡くなった後、さかのぼって贈与財産を相続財産に含めるのを忘れないよう気をつけてください。
3 認知症になったあとに財産を移す
認知症の親の口座から子供の口座にお金を移しても、贈与とは認められず、相続税対策にはなりません。
認知症になり意思決定ができなくなると、財産の贈与や売却は無効とされます。そのため、認知症の診断がおりたあとに、相続財産を減らそうと親から子供の口座にお金を移しても、贈与と認められないことがほとんどです。
相続税がかかるおそれがあるときは、親が認知症になる前に家族で話し合っておきましょう。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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