年金についてよく理解しないまま老後を迎えると、年金をもらい始める時期が希望より遅くなってしまったり、将来もらえる年金を増やせなかったりする。年金でよくある3つの誤解には、次のようなものがある。
誤解1 手続きしなくても年金の支給はスタートする
老齢年金をもらうための手続きをしなくても、自動的に支給がはじまると考えている人がいるが、これは間違いだ。
年金をもらいはじめる時期は65歳だけでなく、60歳から65歳までの間にはじまる「繰上げ受給」や、66歳から75歳までの間に開始する「繰下げ受給」がある。
そして、年金をもらいはじめる時期がいつであろうと手続きしなければ支給ははじまらない。
年金をもらいはじめる時期によって手続きの方法が変わるので、以下で詳しく見ていこう。
繰上げ受給をするなら、繰上げ請求書を年金事務所などでもらった上で手続きする。
65歳からもらう人は、65歳になる3ヵ月前に年金請求書が自宅に届くので、そこに必要事項を書いて提出する。
繰下げ受給する人は65歳時点で何か手続きをする必要はなく、もらいはじめたい時期が来たら、年金事務所などで繰下げ請求書をもらって手続きしよう。
誤解2 国民年金保険料の未納分は後からはどうしようもない
国民年金保険料が未納となっている分は、後からどうすることもできないと誤解している人がいる。
保険料が未納になる例として、学生のときに「学生納付特例制度」を使って保険料の納付を猶予してもらうケースが挙げられる。
実際はこうした制度を使って未納となっても、過去10年までさかのぼって未納分を後から納められる。これを「追納」という。
老齢基礎年金の満額は年間79万5,000円(令和5年度時点)だが、保険料の未納があるともらえる額が満額より少なくなるので、年金を少しでも増やしたいなら追納したほうがよいだろう。
また、追納期限が過ぎてしまったら、「任意加入」という方法を使う手もある。
任意加入とは、年金を満額もらえるだけの保険料を60歳時点で納めていないときに限り、60歳から65歳までの間、国民年金に入って保険料を納められる制度だ。
誤解3 60歳を過ぎて働いてももらえる厚生年金は増えない
60歳を過ぎて再雇用やアルバイトなどで働いても、もらえる厚生年金は増えないと考える人がいるが、これも間違いだ。
厚生年金は、過去の加入期間にかかわらず、60歳以上の人も70歳まで入れる。
定年退職してしまうと厚生年金に入るのは難しいと考える人もいるが、再雇用やアルバイトであっても「週の所定労働時間が20時間以上」「賃金の月額が8万8,000円以上」といった条件を満たせば入れる。
将来もらえる厚生年金を増やしたい人は、60歳を超えても働けるうちは働いて、保険料を納めるのがよいかもしれない。
文・廣瀬優香(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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