「産後パパ育休」ができるなど、男性でも育休を取る人が増えていますが、iDeCo(イデコ、確定拠出年金)を使っている人は、注意しないと育休手当が減ってしまう場合があります。
なぜ育休手当てが減るかもしれないのか
イデコのメリットの一つは、支払う社会保険料や所得税などが少なくなることです。
これは、月々の収入から投資に回すために天引きした額を、“もともと収入として得ていないもの”として取り扱うので、収入が減った計算になるからです。
しかし、収入自体を少なく取り扱うため、逆に社会保険により給付される(もらえる)額も減ってしまうのです。
育休期間中にもらえる育休手当の額がどう決まるかというと、「休業開始後6ヵ月間は休職前の収入の67%、その後最大2年間は50%」です。
もしイデコで毎月5万円積み立て(天引き)していた場合、もらえる額は、イデコをしていない場合と比べて月3万3000円少なくなります。2年間の育休全期間では最大65万円も少なくなってしまいます。
支払う社会保険料は収入により(規定も都道府県ごと)、東京都の場合は給料が月30万円以上なら一律で3万円、月給が25万円なら2万4,000円です。
5万円の積み立てを1年間しなかった場合、7万2000円多く社会保険料を支払うことになりますが、その分もらえる分と相殺すると、イデコをしていないほうが57万8000円分得をすることになります。
育休手当を減らさないために
イデコを使うことで育休手当が減ってしまうのを避けるには、毎月の拠出額(天引き額)を下げることです。最も低い額で3,000円などにできます。
もし計画的に妊娠を進めているなら、出産予定の半年前までに減らしましょう。さらに出産の1年前までに変えておけば、出産手当が減らされることもありません。育休手当の額は出産前半年間、出産手当の額は出産前1年間の標準報酬月額によって決まるからです。
もし妊娠が分かった時点で変えても、出産までに半年以上の期間があれば育休手当が減るのは避けられますし、減らした額は、出産後にまたもとの拠出額に戻せばよいでしょう。
ただ、企業によっては拠出額の変更ができない場合もあり、できたとしても最低金額や変更できる時期が定められている場合も多いので、早めに会社に確かめましょう。
育休手当以外にも気をつけるべき落とし穴
イデコを使っていることで損になる場合があるのは、育休手当だけではありません。傷病手当などを受給する場合にも起こり得ます。
傷病手当は怪我や病気により働けなくなった場合、社会保険から給与の67%が給付されるものなので(育休手当と同じ)、イデコをしていることで納めている社会保険料が少なくなると、もらえる額も少なくなるのです。
病気や怪我は、事前に分からないので備えるのは難しいですが、妊娠はある程度事前に分かるので、早めに対策をしましょう。
文/編集・dメニューマネー編集部
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