うつ病と診断されて労働に支障が出るような場合は障害年金の申請ができるのはご存じだろうか。障害年金の制度概要と受給方法を知っておこう。
コロナ禍でメンタルヘルス問題が急増、助成制度を活用しよう
新型コロナの感染拡大は、カラダや経済の問題だけでなく、人々の心の問題も引き起こしている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、国内ではうつ病やうつ状態の人の割合が2倍以上に増えたことがOECDのメンタルヘルスに関する調査で分かった。
厚生労働省では、「みんなのメンタルヘルス」という総合サイトを展開しており、心の問題があるときは一人で悩まず、身近な人や周囲の人、専門家や各相談機関などに相談することが大切だとしている。
参考:みんなのメンタルヘルス
メンタルの問題は身近な人には相談しにくい場合もある。そこで地域の公的な相談機関を利用するように働きかけており、相談先、専門家、同じ病気を経験した仲間・家族が運営している自助グループなども紹介している。
また、精神障害者保健福祉手帳、精神疾患・精神障害、精神障害のために生じた病態に対して、病院又は診療所に入院しない自立支援医療を対象とした助成制度、入院制度なども紹介している。
メンタルの問題は障害年金の対象 課題は認知度が低さか
メンタルヘルスで生活に支障がある場合には障害年金制度もある。
障害年金は目や手足などの外部障害に適用されるだけでなく、ガンや糖尿病といった内臓疾患などの内部障害、さらに統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など精神障害にも適用される。
障害年金は日本の年金制度の一部で、被保険者がケガや病気などの障害で生活に支障がある場合、保険料の納付要件を満たしていれば、原則20歳以上の現役世代でも受給できる。受給者数は年々拡大しているが、制度に対する認知度が高いとは言えず、受給資格があるにもかかわらず申告漏れで受給していないケースも増えている。
障害年金の申請方法や必要なものは?
メンタルヘルスでの病院の初診日に、厚生年金に加入していれば障害厚生年金、未加入なら障害基礎年金の受給対象となる。
受給に必要な納付要件として、初診日の前日までに前々月までの年金加入期間の3分の2以上の保険料を納入しているか、初診日のある月の前々月までの1年間に未納がないことを満たす必要がある。免除や猶予は認められるので、コロナなどの影響で納付できない場合はその手続きをしておきたい。
申請には、医師の初診日の証明書が必要だ。カルテがあれば問題ないが、カルテの法定保存期間は最後の受診から5年。5年以上経過している場合は難しいこともあるので注意したい。初診日が重要なのは、初診日から1年6ヵ月を経過した日、またはそれ以前に治療の効果が期待できなくなり症状が固定した日を障害認定日として需給が決まるからだ。認定日から長期間経過後に請求しても遡及して受給できることもあるが、5年が時効で無効となる。
症状が軽い場合、リモートワークをしながら受給ができる
障害区分は状態の重い順から1~3級に分かれる。例えば、ベッドの周辺で1日を過ごすような場合が1級であり、外部障害だけでなく精神障害にも適用される。
障害基礎年金の1級で家族などの付加がついて年間約120万円、2級では約78万円が非課税で支給される。障害厚生年金の場合は加入期間や収入で変わり、配偶者の加算もつく場合があり、基礎年金と合計で年間約200万円を超えることも多い。厚生年金のある会社員時代に傷病が始まった場合は、退職前に必ず初診を受けよう。
症状が軽い場合なら、リモートワークなどで仕事をしながら受給することも可能。障害厚生年金3級の人の6割が働いているという。
認定は書類審査だけで決定するため、医師の診断書に仕事に支障があることをキチンと記載してもらうことが必要だ。専門家や社労士などのアドバイスを受けることが重要なサポートになるだろう。
文/編集・dメニューマネー編集部
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