株価が割安か見極める「バフェット指数」はもう機能していないのか?

2021/09/26 17:20

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投資家ならウォーレン・バフェット氏の名を知らない人はいないでしょう。米国の著名投資家で、その際立った運用パフォーマンスから「投資の神様」と崇められている存在です。また、世界有数の資産家としても知られ、フォーブス誌が発表した2021年版の世界長者番付では6位にランクインしています。 それでは「バフェット指数」という言葉は

投資家ならウォーレン・バフェット氏の名を知らない人はいないでしょう。米国の著名投資家で、その際立った運用パフォーマンスから「投資の神様」と崇められている存在です。また、世界有数の資産家としても知られ、フォーブス誌が発表した2021年版の世界長者番付では6位にランクインしています。

それでは「バフェット指数」という言葉はご存じでしょうか。バフェット氏が用いているとされ、株価の割安・割高を判断する指標のことです。しかし近年、そのバフェット指数は機能していないと言われていますが、なぜなのでしょうか。

バフェット指数とは何か “100を超えると割高”

株価の割高・割安を検証する指標はいくつかあります。そのなかの一つが「バフェット指数」です。

計算式は「検証したい国の株式時価総額÷その国の名目GDP×100」で、計算結果が100を超えると割高と言われています。

バフェット指数の検証

それでは実際にバフェット指数の推移を確認し、バフェット指数が機能しているかを確認してみましょう。「投資の森」というWebサイト(株式会社ディーボ運営)がバフェット指数を発表しているので、それを元に、2000年以降の推移を確認することにします。2000年以降の大きな相場として、次の3つが挙げられます。

・2000年頃のITバブル(その後、ITバブル崩壊で急落)
・2007年頃のサブプライムバブル(その後、リーマンショックで急落)
・2009年頃から今日まで続く長期上昇相場

それぞれのバフェット指数を確認してみましょう。

まず、2000年頃のITバブルです。バフェット指数はバブルの高まりとともに上昇し、2000年3月に142をつけています。米国の主要株価指数であるS&P500は、2000年5月頃をピークに急落しましたので、一定の割高シグナルになっていたと言えるでしょう。

次に、2007年頃のサブプライムバブルです。バフェット指数はバブルの高まりとともに上昇し、2007年5月に108をつけています。S&P500は、2007年7月頃をピークとして下落トレンドに入りましたので、こちらも一定の割高シグナルになっていたと言えるでしょう。

それでは、2009年頃から今日まで続く長期上昇相場はどうでしょうか。バフェット指数が100を超えたのは2013年3月頃であり、今日では200を超える水準となっています。

一方、S&P500は短期的な下落はありつつも、長期トレンドとしては上昇が続いています。少なくとも執筆時点においては、バフェット指数は機能していないと言えるでしょう。

バフェット指数はもう機能しないのか

なぜ2009年頃から今日まで続く長期上昇相場では、バフェット指数は機能していないのでしょうか。想定される要因として「今は金利が非常に低い」ということが挙げられます。

例えば、2000年頃のITバブルでバフェット指数が100を超えたときは、米国10年債利回りが6%を超えていました。2007年頃のサブプライムバブルでバフェット指数が100を超えたときも5%前後ありました。

対して、現在の米国10年債利回りは1%前半です。金利が低いと、株式が多少割高だとしても、債券と比べたら相対的に株式が魅力的であるため、株価が下がらない(むしろ上がる)というわけです。

それでは、バフェット指数はもう機能しないのでしょうか。これは難しい疑問です。私見ではありますが、この超低金利環境が続く限り、機能するのは難しいでしょう。そして、以前のように、米国10年債利回りが5%や6%をつける世界がすぐに戻ってくることも難しいと思われます。

いかに低金利が株式に追い風なのかを実感する

今回は、株価の割安・割高を判断する指標「バフェット指数」について見てきました。投資の神様であるウォーレン・バフェット氏の名がついた指標ではありますが、現在は機能しているとは言い難い状況です。

おそらく、バフェット氏もこの指標はほとんど気にしてないと思われます。2009年頃から今日まで続く長期上昇相場において、バフェット指数が100を上回ってからも株式投資を加速させているからです。

とはいえ、バフェット指数の過去の推移を確認することは無駄ではありません。バフェット指数の推移を読み解くと、いかに低金利が株式に追い風なのかを改めて実感するでしょう。

文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

(2021年8月5日公開記事)

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