デイトナやサブマリーナといったロレックスを代表する人気モデルと比べると、地味な存在のエアキング(Air King)。しかし、コレクター間では「ロレックスの隠れた名作」として評価が高く、手堅い資産価値の上昇が期待できる。
60年以上愛され続けるエアキング
ロレックスのドレスウォッチシリーズであるエアキングは、現在も生産されているロレックスの中で最も歴史の長いモデルの一つだ。初期は優雅さがテーマだったデザインはモデルチェンジと共に大きく様変わりし、今ではカジュアル前面に押し出したものになっている。
低価格ラインとはいえ、中~高級ラインのモデルに引けを取らない高品質さは、ロレックスの象徴ともいえる。
初代発売は1945年。創設者であるハンス・ウィルスドルフ氏が、戦時中にオイスターウォッチを着用していたイギリス空軍パイロットに敬意を表わして、オイスター・エア・ウォッチシリーズを発売した。
ヴィンテージコレクターを魅了するref.5500
近年は現行モデルのref.116900やref.14000(1989 ~2007年生産)、ref. 114200(2007 ~2014年生産)が人気だが、コレクター間で「典型的なヴィンテージエアキング」と呼び名が高いのは、1957~1989年にわたり発売された第4世代のref.5500だ。
34mmのステンレススチールケース(本体)、ドーム型のスチールベゼル(文字盤外周にある部位)、スチールのオイスターブレスレット、シンプルなスティック針とスティックインデックス(時間を示す目盛りや数字)と、近年のロレックスとは一味違うクラシックなデザインが特徴だ。文字盤は控えめなトーンの白、黒、銀、青、灰色の5色。一生ものに値する頑丈なつくりと、シーンを選ばず飽きの来ないスタイルが、32年の時を経て現在も愛され続けている理由の一つと考えられる。
興味深いのは、ref.5500には、ロレックスの他のモデルのように文字盤に「Superlative Chronometer(高精度クロノメーター)」の文字が記載されていないことだ。
この文字はムーブメント(時計内部に収められ、針を規則正しく動かしている駆動装置)がCOS(スイス公認クロノメーター)の公式認定を受け、自社の最終検査を通過したことを証明するためのものだ。ref.5500は代わりにムーブメントの一種であるキャリバーを搭載しており、キャリバー1520型搭載モデルには「Precision」(精密)、1530型搭載モデルには「Super Precision」(超精密)と表示されている。
過去20年間で価値が27倍になったものも
ref.5500のもう一つの魅力は、2021年8月現在の中古相場は40万円以下と、比較的手頃な価格で入手できるにも関わらず、安定した資産価値の上昇も期待できる点だ。
ヨーロッパ中古市場では、過去1年間で約24%値上がりしている。初期モデル発売当時の価格は、40~52ポンド(約5207~7951円)。2002年頃は1000ユーロ(約13万円)以下で販売されていたが、近年は5000ユーロ(約65万円)以上のものや、2万7000ユーロ(約350万円)の値が付いたものもある。
ref.5500は30年間以上生産されていたため、生産数が多い。それゆえに中古相場も低めだが、実は日付ウィンドウ付きのものやケースの大振りなものなど、複数の特別仕様モデルが存在する。
特にユニークなものは、「ドミノダイヤル」と呼ばれるドミノピザとのコラボレーションモデルだ。これは長年にわたり、ドミノピザが売上目標を達成したフランチャイズ加盟店に贈答していた限定品で、文字盤の下部にドミノピザのアイコンがあしらわれている。このような特別仕様モデルを発掘するのも、コレクターならではの楽しみだ。
近代的なデザインと高機能性を融合させたロレックスも魅力だが、飽和状態の現代だからこそ、シンプルさを追究したref.5500のような「隠れた名作」も新鮮ではないだろうか。
文・アレン琴子(オランダ在住のフリーライター)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
画像=Rolex S.A
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