コロナ禍をものともせず、34期連続で増収増益を果たした企業がある。ニトリだ。株価も20年で50倍近くとなり、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しているが、社員の平均年収も連続してしっかり上がり続けているのだろうか。すでに平均年収は1,000万円台?
今期も増収増益を見込んでいるニトリ
ニトリホールエィングス <9843> の2021年2月期の連結業績(2020年3月〜2021年2月)は、売上高が前期比11.6%増の7,169億円で、最終損益は同29.0%増の921億1,400万円だった。今期も増収増益を見込んでおり、売上高は19.9%増、最終損益は2.1%増に着地すると予想している。
コロナ禍においても売上が好調だったのは、人々の「巣ごもり」の時間が増えたことで、結果敵に家具商品やホームファッション商品などの販売が好調に推移したからだ。EC(電子商取引)事業も順調に伸びており、2025年度には年間売上1,500億円を目指している。
直近10年間の平均年収は、勢いよく上がってはいない
このように業績好調なニトリ。以下の表が、東証1部に上場しているニトリホールディングスの平均年収の推移だ。
時期 | 平均年間給与 |
---|---|
2021年 | 8,682,000円 |
2020年 | 8,512,000円 |
2019年 | 8,551,000円 |
2018年 | 8,607,000円 |
2017年 | 8,777,000円 |
2016年 | 8,600,000円 |
2015年 | 8,102,000円 |
2014年 | 7,838,000円 |
2013年 | 7,705,000円 |
2012年 | 8,274,000円 |
結論から言えば、ニトリホールディングスの平均年収は直近10年でみるとやや上昇傾向にはあるものの、直近5年ではほぼ横ばいの状況となっている。いずれにしても、増収増益や株価上昇の状況とは異なり、勢いよく平均年収が上がっているというわけではない。
しかしニトリに関しては、平均年収の金額だけに着目すべきではない。ある制度を導入しているからだ。
従業員に自社株を付与する制度をスタート
その制度とは、従業員に自社株を付与するという取り組みだ。ニトリホールディングスが2018年8月に発表した制度で、子会社の従業員を含めて約5,000人を対象に実施するものだ。
この自社株を付与する取り組みは、2年ごとに継続実施していくものとされ、まずは2021年2月までの勤務評価に基づいて実施されるものと明らかにされた。従業員に自社株を持たせることで、モチベーションアップや定着率の向上を狙っている。
平均年収の金額では図れない満足感や高揚感が?
従業員が自社株を持つということは、その自社株の価格が大きく上がれば、従業員の資産も大きく増えるということを意味する。
平均年収は1,000万円に届いていないニトリだが、同社の従業員は自社株が付与される制度によって、平均年収の金額では図れない満足感や高揚感を得ているのかもしれない。
過去20年で株価が50倍近くになった実績を有しているニトリ。もし今後も同じペースが維持されるとすれば、仮に新入社員時代に10万円分の自社株が付与された場合、中堅世代となっている20年後にはその株式の価値が500万円近くに膨らんでいることになる。
なんと夢がある話ではないか──。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
(2021年8月18日公開記事)
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