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「結果にコミット!」でお馴染みのRIZAP(ライザップ)<2928>。最近はボディメイクと長期宿泊を組み合わせた「ボディケーション」を打ち出すなど話題だ。そんなRIZAPが、従業員の年収にもしっかりとコミットしている? すなわち、同社の平均年収は上がっているのか。
そもそも「コミット」の意味は?
RIZAPのキャッチフレーズである「結果にコミット!」の「コミット」は、「Commitment」を略した単語だ。Commitmentには「責任」といった意味があるため、「結果にコミットする」といった場合は、「結果に責任を負う」といったニュアンスになる。
RIZAPが会員に対して責任を負っているのは、健康的に痩せることや、会員が理想とする身体づくりを実現することであり、利用者の期待以上の成果を出して喜んでもらえるよう、同社所属のプロのトレーナーが日々サービスを提供している。
では一方、RIZAPは企業として従業員の年収にもしっかりコミットし、年収を上げることで従業員に喜んでもらえているのだろうか。
直近10年間の平均年収と純利益の推移を比べてみる
RIZAPグループの平均年収は直近10年間、以下のように推移している。財務状況と組み合わせた方がどれだけ従業員の平均年収にコミットできているかがよく分かるので、当期純利益の推移も合わせて紹介する。
RIZAPグループの平均年収と当期純利益の推移 | ||
---|---|---|
会計年度(3月期) | 平均年収 | 当期純利益 |
2021年 | 5,610,000円 | 15億5,600万円 |
2020年 | 6,542,000円 | △60億4,600万円 |
2019年 | 6,219,000円 | △194億2,300万円 |
2018年 | 6,245,000円 | 90億7,500万円 |
2017年 | 6,045,000円 | 76億7,800万円 |
2016年 | 4,742,000円 | 24億6,600万円 |
2015年 | 4,934,000円 | 16億3,600万円 |
2014年 | 4,820,000円 | 26億9,800万円 |
2013年 | 5,264,000円 | 4億200万円 |
2012年 | 5,453,000円 | 8億8,700万円 |
このように一覧にしてみると、ある傾向が見えてくる。2016年3月期から2018年3月期にかけては、当期純利益と平均年収の変動がほぼ一致している。すなわち、当期純利益が増えたことで平均年収も上がっている。
一方、2019年3月期と2020年3月期をみてほしい、2019年3月期は大赤字だったのに平均年収はほぼ前期水準を維持した。さらに2020年3月期は赤字が続いたのに、従業員の平均年収が上がる結果となっている。
どういう狙い、もしくはどういう理由で平均年収が上がったかは分からないが、結果だけをみれば、「従業員の給与にもコミット!」と言っていい状況かもしれない。ただし、同社が経営再建に向けて早期退職者の募集に取り組んだことも、頭の片隅に入れておきたいが。
今後のコミットぶりに注目
最後に1点。その後の2021年3月期には平均年収は大きく下がっており、一方で当期純利益は黒字に展開している。RIZAPと言えど、従業員の平均年収にコミットし過ぎては、なかなか業績改善は難しかったのかもしれない。
さて今後、RIZAPグループの平均年収はどう推移していくのか、同社のコミットぶりに注目したい。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
画像・hanack / stock.adobe.com(画像はイメージです)
(2021年8月9日公開記事)
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