税込300円の「ミラノ風ドリア」など、コスパ最高の人気メニューを数多く有しているサイゼリヤ <7581> 。企業努力もあって価格が安めに抑えられているが、その分、従業員の給料が減らされていないか心配だ。ここ10年間の平均年収の推移を分析してみた。
価格改訂も「ミラノ風ドリア」は1円値上げにとどまる
2019年7月に国内外の店舗数が1,500店舗を超えたサイゼリヤ。2020年に価格を50円単位に変更したものの、ミラノ風ドリアは299円から300円へと1円の値上げにとどまるなど、いまもメニューの安さは健在だ。そもそもこの値段アップも、端数をなくして硬貨を触らなくて済むようにというコロナ対策でもあるようだ。ちなみにグラスワインは100円のまま据え置かれた。
そんなサイゼリヤの固定ファンは多く、わざわざ遠くからサイゼリヤを訪れる地方在住者もいる。若い人だけに人気と思いきやそうでもなく、いつも店内は老若男女、さまざまな客でにぎわっている。
こうした人気がサイゼリヤの業績を下支えしており、コロナ禍以前の売上高は綺麗な右肩上がりを描いている。2019年8月期とその10年前の2009年8月期を比べると、売上高は883億円から1,565億円まで増えている。つまり、10年で2倍近くまで伸びている。
平均年収、ビフォーコロナは最高水準をがっちりキープ
このように売上高が伸びていることは素晴らしいことだが、冒頭で触れた通り、コスパを重視する分、従業員の給与が低く抑えられていないか、少し心配になる。
サイゼリヤは上場企業であるため、毎年公表されている有価証券報告書を見れば、従業員の平均年収はすぐ分かる。過去10年間の平均年収の推移は以下の通りだ。
サイゼリヤの平均年収の推移 | ||
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時期(8月時点) | 平均年収 | 従業員数 |
2020年 | 5,893,217円 | 2,082人 |
2019年 | 6,280,910円 | 2,098人 |
2018年 | 6,236,150円 | 2,126人 |
2017年 | 6,255,633円 | 2,154人 |
2016年 | 5,943,391円 | 2,198人 |
2015年 | 5,784,469円 | 2,242人 |
2014年 | 5,613,203円 | 2,255人 |
2013年 | 6,024,047円 | 2,134人 |
2012年 | 5,961,562円 | 1,999人 |
2011年 | 6,024,532円 | 1,942人 |
2020年8月時点の数字は、サイゼリヤがコロナ禍によるダメージを大きく受けたため分析対象から抜くとして、ここ数年の平均年収は620万円台で推移し、直近10年間における最高水準をがっちりとキープしている。
つまり結論としては、コスパで勝負しているサイゼリヤは客の満足度の向上だけではなく、従業員の給料アップも忘れていなかったということだ。
業績への期待度高し、平均年収はさらにアップ?
サイゼリヤはコロナ禍をきっかけに、テイクアウトやデリバリーを強化していく姿勢を打ち出した。コロナ禍の収束までは外食企業は厳しい状況が続くが、コロナ禍が収束すればこうした新たな取り組みが売上高の「+α」となり、業績がさらに上向く可能性がある。
そして業績が上がれば、従業員への還元を忘れていないサイゼリヤだけに、平均年収も着実に上がっていくことになりそうだ。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
(2021年8月11日公開記事)
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