日本の公共放送という役割を担っているNHK(日本放送協会)。近年は受信料問題などで揺れているが、そんなNHKの職員の平均年収をご存じだろうか。結論から言えば、NHKの平均年収は日本で時価総額トップのトヨタ自動車 <7203> より高い。
NHKの給与に対する考え方は?
NHKの給与と退職金に関する基準の1つとして、次のようなことが定められている。
「公共放送の使命達成のために必要な人材を確保するうえでの競争力を考慮する一方で、協会の主たる財源が受信料であることをかんがみ、その総額も含めて適正かつ効率的なものとなるよう配慮すること」
現在のNHKの職員への給与は「適正」だと考えられるのだろうか。
平均年収は基本的には1,100万円弱の水準
NHKの2020年度の決算書によれば、2020年度に支払われた給与の総額は1,094億円で、2020年度末の人員数は1万175人となっている。単純計算すると、平均年収は1,075万円ということになる。
2019年度はどうか。支払われた給与の総額は1,114億円で、人員数は1万165人だ。先ほどと同様に単純計算すると、平均年収は1,095万円ということになる。こうした具合で、過去5年間の平均年収を算出してみた。
時期 | 給与総額 | 人員数 | 平均年収 |
---|---|---|---|
2020年度 | 1,094億円 | 1万175人 | 1,075万円 |
2019年度 | 1,114億円 | 1万165人 | 1,095万円 |
2018年度 | 1,115億円 | 1万150人 | 1,098万円 |
2017年度 | 1,103億円 | 1万135人 | 1,088万円 |
2016年度 | 1,109億円 | 1万105人 | 1,097万円 |
(出典:NHKの決算書)
この表から分かるように、基本的にはNHK職員の平均年収は1,100万円弱というところだろう。
日本人全体とトヨタの平均年収と比べてみる
この「1,100万円弱」という金額を、日本人の平均年収や大手民間企業の平均年収と比べてみよう。
日本人の平均年収は、国税庁が毎年発表している「民間給与実態統計調査」から知ることができる。最新の2019年の調査結果だと436万円だった。大手民間企業の場合はどうだろうか。時価総額で日本首位のトヨタ自動車の平均年収は、2019年度は865万8,711円だった。
NHKの平均年収、日本人の平均年収、トヨタ自動車の平均年収を2019年度分で比べてみると、以下の通りとなる。最も高いのはNHKだ。
2019年度の平均年収の比較
NHK ……1,095万円
トヨタ自動車……865万円
日本人の平均……436万円
あなたは「適正」だと感じる?感じない?
ニュースや情報をさまざまな手段で得やすくなった時代、この結果をどう感じるだろうか。NHK職員の給与は「適正」だろうか、そうではないだろうか。考え方は個人個人によって異なるが、あなたはどう思うだろうか。一度考えてみてほしい。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
(2021年8月15日公開記事)
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