【連載】日経平均ってなんだろう? 1分解説
日本は世界有数の経済規模なので、世界中から「日経平均との連動」を目指した資金流入があります。
海外投資家は、世界各国で資金運用しており、上昇が見込まれる市場に資金を大きく配分します。当然ながら、その他の国・地域の市場への資金は配分比率が小さくなります。
さらに、たとえば上昇していた国の株価が急落すると、その損失額を他の国の資産を売って埋めることもあります。このため、ある国の市場の下落が他の国に連鎖することがあるのです。
コロナ拡大の状況が売買動向にも影響
東京証券取引所は、投資家ごとの売買動向を発表しています。1部の売買シェアで最も多いのが7割程度を占める「海外投資家」です。このほか、法人、個人、証券会社、投資信託、事業法人、その他法人に分類されています。
海外投資家の7割に対して、国内の個人のシェアが2割、法人は1割弱です。ちなみに、東証2部とマザーズ市場では海外投資家3割、個人投資家6割、JASDAQ市場では海外投資家4割、個人投資家5割となります。
1日の平均的な売買代金でみると、東証1部は3兆円弱、東証2部は300億円弱、JASDAQは500億円弱、マザーズは1000億円超となりますので、海外投資家がどれ程の影響力があるか分かります。
この投資部門別売買動向と日経平均の推移を表したグラフ(2013年5月~2021年7月)を見ても、海外投資家が大きく買い越し、売り越ししたタイミングで日経平均も大きく変動していることが分かります。

ちなみに「買い越し」とは、売りよりも買いが多い状態で、「買い越し」はその逆で、買いよりも売りのほうが多い状態です。
この期間の月ごとのまとめで「売り越し額」が一番大きかったのは、2020年3月(2兆2636億1900万円)です。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて各国・地域で外出制限などが行われた時期です。世界中で株価が急落し、米国のNYダウの下落は10%を超えました。日経平均は2020年1月には2万3204.86円をつけていましたが、3月は1万6,552.83円まで下落しています。
一方で、「買い越し額」が大きかったのが2020年11月(1兆,6712億1100万円)です。この時は、NYダウが初めて3万ドルを超えました。新型コロナウイルスの感染が再拡大する一方、ワクチン開発が進み、経済活動の正常化への期待が高まった時期です。この時の日経平均は2万3,295.48円から2万6,644.71円まで上昇しています。
もう少し過去を振り返ると、2013年はアベノミクス相場といわれた大相場でしたが、この時は海外投資家の買い越しが継続していたことが分かります。反対に2015年は売り越しが目立ちますが、この時はギリシャの債務問題のほか、中国の景気減速懸念による金融不安が高まった年でした。
秋に予定されている政治日程が外国人投資家の動向にどう作用するか
なお、今年に入ってからは海外投資家の売買がそれほど膨らんでいません。そのため日経平均もあまり大きく動いていません。
今後注目すべきポイントは、海外投資家の売買動向に変化が表れるかどうかです。9月には自民党総裁選が予定されており、10月には衆院議員の任期が満了するため、選挙も行われるでしょう。これらは海外投資家の売買にも大きく影響を与える可能性があります。
日経平均の方向性を探る上で、海外投資家の動向は注目しておく必要があります。
文・村瀬智一(RAKAN RICERCAアナリスト)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長
(2021年8月16日公開記事)
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