平均年収がすさまじいスピードが上がっている上場企業がある。カジュアル衣料大手のユニクロなどを展開するファーストリテイリング <9983> だ。アパレル業界で時価総額が世界一となるなど勢いに乗る同社。10年ほど前は約700万円だった平均年収は、いまは一体いくら?
2010年時点で704万円、2020年時点で901万円
ファーストリテイリングの直近10年間の平均年収の推移は以下の通りだ。2010年で704万円だった平均年収が、直近の2020年では901万円まで上昇している。つまり、この10年で約200万円も平均年収が上がっていることになる。
直近10年間の平均年収の推移 | ||
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時期(8月末時点) | 平均年収 | 従業員数 |
2020年 | 9,013,000円 | 1,589人 |
2019年 | 9,004,000円 | 1,389人 |
2018年 | 8,773,000円 | 1,345人 |
2017年 | 7,915,000円 | 1,166人 |
2016年 | 7,644,000円 | 1,131人 |
2015年 | 7,696,000円 | 1,234人 |
2014年 | 7,359,000円 | 1,088人 |
2013年 | 7,092,000円 | 924人 |
2012年 | 6,757,000円 | 781人 |
2011年 | 6,439,000円 | 710人 |
2010年 | 7,045,000円 | 523人 |
さらに特筆すべき点は、従業員数も増えているということだ。2010年から2020年にかけて従業員数が約3倍になっている。これほどのスピードで従業員を増やしつつ、かつ平均年収を上げていくのは、決して簡単なことではない。
業績は右肩上がり、時価総額も業界で世界一に
ファーストリテイリングが従業員の給与を増やしていけるのは、業績が好調だからに他ならない。コロナ禍が起きてからは勢いが落ちたものの、2009年8月期に6,850億円だった売上高は2019年8月期には2兆2,905億円まで増えている。
純利益の増加もしっかり伴っている。2009年8月期は純利益として497億円を計上していた同社。2019年8月期は純利益は1,625億円まで増えている。
ファーストリテイリングの事業がここまで好調な理由は、海外事業などが順調に拡大していることや、売れ筋データをAI(人工知能)で解析させ、売上効率が高い生産計画を立てられていることなどにある。
好業績やこうした取り組みが投資家からも評価され、2021年2月に同社の時価総額は10兆8,000億円超に達し、「ZARA」を展開するスペインのインディテックスを抜いてアパレル業界で世界1位となった。
想像以上の給与増に社員もびっくり?
10年前にファーストリテイリングに入社した人は、想像以上の年収の上昇スピードに驚いているかもしれない。アパレル業界は全業種の中でも決して給与が高い方ではないが、このペースでいけば年収1,000万円企業となるのも間もなくだろう。
ただし、時代の潮流は「ファストファッション」から「サステナブルファッション」へと徐々に変わりそうな兆候を見せており、ユニクロといえど将来が絶対に盤石とは言えない。
同社の会長兼社長である柳井正氏が今後どのような戦略を打ち出していくのか、注目だ。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
(2021年8月16日公開記事)
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