「お金と人生幸福度の関係性」に関する研究で、年収が2,000万円以上3,000万円くらいまでは幸福度が上がるものの、3000万円未満とピークとして、それ以降は幸福度が下がることが分かりました。
これは、内閣府が2019(令和元)年5月24日に発表した【「満足度・生活の質に関する調査」に関する第1次報告書】(以下、同資料)によるものです。
満足度は健康や人間関係、趣味などにも大きく影響を受ける
まず前提として、同資料は「お金」だけに焦点を当てた調査ではありません。満足度はお金だけではなく、健康や人間関係、趣味などにも大きく影響を受けるとされています。
その上で、「お金と人生幸福度の関係性」の結果について見ていきましょう。お金に関する調査は「世帯年収」と「世帯金融資産残高」に分かれています。
なお調査は「現在の生活にどの程度満足しているか」について、0 点から 10 点の 11段階で満足の度合を質問し、「全く満足していない」を 0 点、「非常に満足している」を 10 点として実施しています。
世帯年収と人生幸福度の関係性
まずは世帯年収と人生幸福度の関係性です。結果は以下の通りです。
世帯年収額 | 人生幸福度 |
---|---|
100万円未満 | 5.01 |
100万円以上300万円未満 | 5.20 |
300万円以上500万円未満 | 5.68 |
500万円以上700万円未満 | 5.91 |
700万円以上1,000万円未満 | 6.24 |
1,000万円以上2,000万円未満 | 6.52 |
2,000万円以上3,000万円未満 | 6.84 |
3,000万円以上5,000万円未満 | 6.60 |
5,000万円以上1億円未満 | 6.50 |
1億円以上 | 6.03 |
2,000万円以上3,000万円未満とピークとして、それまではきれいに満足度が上昇する結果となりました。3,000万円以上からはきれいに右肩下がりとなっていることも興味深いですが、ラフな結論として、世帯年収3,000万円くらいまでは、人生幸福度が上がると言って良いでしょう。
世帯金融資産残高と人生幸福度の関係性
続いて、世帯金融資産残高と人生幸福度の関係性です。結果は以下の通りです。
世帯金融資産残高 | 人生幸福度 |
---|---|
100万円未満 | 4.98 |
100万円以上300万円未満 | 5.63 |
300万円以上500万円未満 | 5.83 |
500万円以上700万円未満 | 5.90 |
700万円以上1,000万円未満 | 5.98 |
1,000万円以上2,000万円未満 | 6.34 |
2,000万円以上5,000万円未満 | 6.54 |
5,000万円以上1億円未満 | 6.83 |
1億円以上3億円未満 | 6.92 |
3億円以上 | 6.43 |
1億円以上3億円未満とピークとして、それまではきれいに満足度が上昇する結果となりました。3億円以上は下落に転じることも興味深いですが、ラフな結論として、世帯金融資産残高3億円くらいまでは、人生幸福度が上がると言って良いでしょう。
基本的には「お金持ちであればあるほど幸せになれる」
確かに、世帯年収3,000万円あれば、よほどの高望みをしなければ、ほとんどの消費は我慢することなく決断でき、ストレスの少ない生活が送れるでしょう。世帯金融資産残高3億円あれば、よほど浪費家でなければ、老後資金の枯渇を心配する必要はありません。場合によっては資産運用の配当だけで生活ができるでしょう。
考えてみれば、これは妥当な結果です。日本は資本主義経済である以上、お金がなければ良い生活はできませんし、買いたいものを我慢しないといけません。前述のように、人生幸福度はお金だけで決まるものではありませんが、お金だけ切り取った場合は、基本的には「お金持ちであればあるほど幸せになれる」ということです。
この結果は、一般人にとってはやや残酷かもしれません。世帯年収3,000万円や世帯金融資産残高3億円は、なかなか達成することが難しい数字でしょう。
「真の富裕層」になると、富裕層ならではの悩みが出てくる?
世帯年収3,000万円以上や世帯金融資産残高3億円以上になると、満足度が段々と低下していることも興味深い結果です。おそらく、この水準に該当する「真の富裕層」になると、富裕層ならではの悩みが出てくるのでしょう。
ただ一般人からすれば、「そのようなことに悩めること」自体が、幸せなことであるとも言えます。あなたはこの調査結果を見て、何を感じたでしょうか。
文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
(2021年8月17日公開記事)
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