「Eat Well, Live Well. 」をスローガンに掲げる日本の食品メーカー・味の素 <2802> の人気がここ数年、就活生の中で高まっている。福利厚生に対する評価が高いほか、法令遵守の意識が高いクリーンなイメージも、人気向上に一役買っているようだ。では味の素の場合、待遇面はどうだろうか。学生を惹きつけるほどの水準なのだろうか。
就活生からの味の素の人気が上昇中
理系学生からの人気が元々高めだった味の素だが、就職情報大手マイナビなどが行っている就職企業人気ランキングの「2022年卒版」の理系学生部門で、過去5年間で初の1位となった。ソニーグループやサントリーグループ、そしてトヨタ自動車よりも上だ。
楽天が運営する就職活動情報サイト「楽天みん就」の就職人気ランキングでも上位だ。「2020年卒版」で前年の5位から一気に1位に躍り出て、その後も上位にランクインし続けている。
このように人気が高い理由を冒頭いくつか説明したが、恐らく学生たちは待遇面の良さも意識して味の素を選んでいるはずだ。どんなにクリーンなイメージの企業でも、福利厚生が良くても、給与が少なければなかなか就職意欲が湧かないはずだからだ。
待遇面の良さも人気を後押し?平均年収を分析
では実際に味の素の平均年収はどのくらいか分析していこう。同社が毎年公表している有価証券報告書によると、過去10年間の平均年収の推移は以下の通りとなっている。
味の素の平均年収の推移 | |
---|---|
時期 | 平均年収 |
2021年 | 9,971,519円 |
2020年 | 9,557,640円 |
2019年 | 9,822,735円 |
2018年 | 9,458,158円 |
2017年 | 9,524,867円 |
2016年 | 9,511,909円 |
2015年 | 9,230,979円 |
2014年 | 9,095,733円 |
2013年 | 9,066,802円 |
2012年 | 9,263,347円 |
2011年 | 9,138,623円 |
味の素の平均年収のこの10年のピークは今だ。2021年3月時点で9,971,519円となっており、大台の1,000万円台は目前で、2013年3月時点の9,066,802円と比べると、わずか8年で90万円も上がっている。
こうして考えると、学生からの味の素の人気ぶりには待遇面が良くなっていることもしっかりと織り込まれていると言えそうだ。
海外事業による業績向上で年収1,000万円企業に
ちなみに味の素は、主力の調味料(味の素・風味調味料)の海外展開に成功しており、インドネシアやブラジルなど主要展開9カ国における購入者はすでに7億人に上っているが、2030年までには10億人まで増やすことを目指している。
味の素の企業全体の売上高自体は近年横ばいの状況が続いているが、海外事業はまだまだ伸びしろが大きいことを考えると、海外事業による売上高の押し上げによって業績がさらに上向き、平均年収が1,000万円を超える時期もそう遠くはないかもしれない。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
(2021年8月18日公開記事)
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