国内最大の広告代理店と言えば電通 <4324> だ。国際オリンピック委員会(IOC)などとも緊密な関係を持つといわれ、放映権ビジネスなど世界をまたにかけて大きな事業を展開している。そんな大きな影響力を持つ電通だけに、従業員の平均年収も飛び抜けて高いはずだが、いくらなのだろうか?もしかして余裕の2,000万円超え──?
平均年収は2019年12月時点で1,168万円
電通グループは株式市場に上場しているため、投資家向けに毎年、有価証券報告書を公表している。そしてその有価証券報告書には、従業員の平均年間給与が掲載されている。早速、過去10年分の数字を追っていこう。
電通の平均年収の推移 | ||
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時期 | 平均年収 | 従業員数 |
2020年 | 13,418,790円 | 164人 |
2019年 | 11,687,559円 | 7,071人 |
2018年 | 11,797,585円 | 6,921人 |
2017年 | 12,725,364円 | 6,927人 |
2016年 | 12,477,350円 | 6,799人 |
2015年 | 12,288,322円 | 7,261人 |
2014年 | 11,917,821円 | 7,425人 |
2013年 | 11,434,522円 | 7,515人 |
2012年 | 11,455,313円 | 7,494人 |
2011年 | 11,632,591円 | 6,903人 |
2010年 | 11,184,952円 | 6,724人 |
2020年12月時点の平均年収は1,341万円で、前年から一気に173万円もアップしている。その理由は、電通が2020年1月に持株会社体制に移行したことで、一般職などの多くの従業員が子会社に所属を移し、元々年収が高めの従業員が持株会社に残ったからだ。
そのため電通本来の平均年収を知るには、2020年より前の平均年収の金額を分析する必要がある。2019年12月時点の平均年収は1,168万円、2018年は1,179万円で、直近10年のピークは2017年の1,272万円。
平たくすれば、大体1,200万円前後が電通の平均年収といったところだ。
朝日放送などと同水準、トヨタより300万円も高い
冒頭、「電通なら平均年収2,000万円もありえるかも」と書いたが、実際はそれには届かなかった。しかし平均年収が1,200万円台になれば、日本の上場企業の中でTOP 30にランクインするほど高い。
平均年収1,200万円前後の企業としては、ほかにどんな企業があるのか。以下、例を挙げてみる。
平均年収が1,200万円前後の企業 | |
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企業名 | 平均年収 |
朝日放送グループホールディングス | 1,229万円 |
野村総合研究所 | 1,225万円 |
三井住友トラスト・ホールディングス | 1,201万円 |
丸紅 | 1,192万円 |
東京エレクトロン | 1,179万円 |
ちなみに、時価総額日本トップで「世界のトヨタ」とも呼ばれるトヨタ自動車 <7203> の平均年収は、2021年3月時点で858万円。電通の方が300万円以上も高い。
コロナ禍さえ収束すれば、平均年収はもっと上がる?
電通の平均年収は今後どう推移するのだろうか。電通はコロナ禍の影響でこの2年の業績は厳しい状況になっているが、それ以前は売上高や当期純利益は右肩上がりの状況だった。そのため、コロナ禍が収束して業績が再び軌道に乗れば、平均年収の上昇も十分考えられるが、さてどうなるか──。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
(2021年8月21日公開記事)
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