コロナ禍にあえぐ旅行業界の苦境がより鮮明になっている。
JTBの2021年3月期決算が5月28日に発表され、純利益がマイナス1051億円と大幅な赤字であることが分かった。前期は16億円の黒字だ。赤字額は過去最悪といい、今年度も夏・冬の賞与は見送るという。
このほか近畿日本ツーリストを運営するKNT-CTホールディングス<9726>も、同期の決算が純利益マイナス284億円の赤字だ。
さらにエイチアイエス <9603> は10月期決算だが、2020年11月から21年1月末までの第1四半期で純利益マイナス79億円の赤字を計上。そうした状況の中、同社は新たに500人規模の社員をグループ外企業に出向させることを決めている。既に1,000人を出向させており、累計1,500人。連結のグループ社員1万6,000人のおよそ1割を出向させると聞けば、相当深刻な状況であることがうかがえよう。
五輪によるインバウンドも見込めず
2020年度、国内主要旅行業者46社・グループの「海外旅行」取り扱い額は、前年度と比べて97.7%減のわずか424億円にとどまってい(観光庁「2020年度主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計」)。
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国内旅行はGoToトラベルなどの大々的なキャンペーンなどがあったにもかかわらず、61.1%減の9481億円という状況だった。
さらに夏に予定されている東京オリンピック・パラリンピックでも、海外旅行者は受け入れないことが決まっている。インバウンド需要も見込めない。
ワクチンの接種が進み、コロナ感染者数の増加ペースが落ち着けば、旅行などのレジャー消費が高まる可能性はある。しかし、それがいつになるのかは誰にも分かっていない。
文/編集・dメニューマネー編集部
画像・Angelov / stock.adobe.com
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