正社員になる誘いを受けた派遣社員のうち、実に76.5%が断っていることが分かった。その理由は何なのだろうか。非正規雇用はリスクがあるというイメージを持つ人も多いかもしれないが、本当にそうなのだろうか。
「人間関係」や「残業」が正社員化を断る理由に
今回が3回目となるこの調査はマイナビが行ったもので、現在派遣社員として働いている20〜59歳の男女1,376人から回答を得た。
正社員化を断った理由で最も多かったのが「正社員になると人間関係など割り切って働けなくなるから(34.2%)」、次いで「残業など、勤務時間や勤務日数の負荷が増えるから(32.6%)」だった。
「時給換算すると派遣社員の方が稼げるから(24.7%)」という給与に関する理由も5位に入ったが、最も重視しているのは働く環境であり、派遣社員の全員が正社員化を望んでいるわけではない実態が明らかになった。
なお、そもそも正社員化の誘いを受けたことがある派遣社員は28.9%だった。
派遣社員としての働き方は1つではない
派遣社員としての働き方は多様化しつつある。雇用形態として最も一般的とされるのは、派遣期間が設けられる「登録型派遣」で、派遣先を変える際に時間が空くと給与はもらえない。
しかし近年では、派遣社員として派遣元企業に常に在籍し、次の派遣先の決定を待っている間も給与を貰える「常用雇用型派遣」や、派遣期間満了時に正社員化を見込んでいる「紹介予定派遣契約」などを利用して働く人が増加傾向にある。
また、今後も派遣社員として働きたい人の割合は50.1%(前年比6.1ポイント増)となっており、その働き方に満足する人が一定数いると言えるだろう。
働く人の待遇差を埋める制度とは?
正社員にとらわれない働き方を後押ししているとされる制度が、「無期転換ルール」と「同一労働同一賃金」である。
無期転換ルールとは、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたとき、労働者からの申し入れがあれば無期労働契約に転換されるルールで、2013年4月に導入された。
同一労働同一賃金とは、同じ企業や団体における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の待遇差をなくすことを目指すもので、2020年4月から適用された。
こうした制度により待遇差が改善されれば、自由度の高さを理由に非正規雇用労働者として働くことを選択する人が今後増えるかもしれない。
文・廣瀬優香(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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(2021年9月6日公開記事)