家計を見直したい

FP武藤さんに相談!第1回「40代の共働き家庭。加入すべき保険と不要な保険は?」

2021/12/15 07:30

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お金の悩みにFP(ファイナンシャルプランナー)が答える連載企画の第1弾。今回の相談者は、40代共働き家庭のご夫婦です。いくつか保険に入って備えているものの、「本当に必要な保険・不要な保険」がわからないといいます。相談者の事例をもとに、生命保険の見直しポイントや、確保しておくべき保障内容を解説します。 回

お金の悩みにFP(ファイナンシャルプランナー)が答える連載企画の第1弾。今回の相談者は、40代共働き家庭のご夫婦です。いくつか保険に入って備えているものの、「本当に必要な保険・不要な保険」がわからないといいます。相談者の事例をもとに、生命保険の見直しポイントや、確保しておくべき保障内容を解説します。

回答者・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)

マネーコラムの執筆、情報発信を中心に活動するFP(AFP)、金融ライター。会社員時代の経験から、副業や起業に関するアドバイスも行う。投資や在宅でできるネット副業に詳しい。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

相談 かけている保険の保障で大丈夫か不安

「夫の死亡保険と子どもの学資保険に加入し、しっかり備えてきたつもりですが、今のままで保障に過不足がないか不安。自分たちに必要な保険・不要な保険が知りたいです」

相談者プロフィール

夫 43歳 正社員 年収600万円(うちボーナス100万円)
妻 41歳 パート 年収200万円
長男 8歳
長女 4歳

地方在住の一家。5年前に一軒家を購入。車所有。現在の貯蓄額は、約550万円。2人の息子の進路は、高校まで公立、大学からは私立を考えている。加入している保険は、死亡保険(夫)と子ども2人の学資保険。保険ではないが、老後資金も気になり、最近夫婦でiDeCoにも加入した。

1か月の家計簿
収入金額
夫の手取り月収31万円
妻の手取り月収13万5,000円
児童手当2万円
収入合計46万5,000円
支出金額
住居費(ローン返済)90,000円
食費70,000円
通信費(Wi-Fi+スマホ2人分)11,000円
水道光熱費24,000円
子ども費(習い事含む)15,000円
医療費3,400円
死亡保険(夫)33,000円
学資保険(子ども2人分) 20,000円
iDeCo掛金(夫婦2人分) 23,000円
教育費積立(子ども2人分) 20,000円
小遣い(夫、妻) 50,000円
その他(車・日用品・被服・美容・交際・レジャー) 71,000円
支出合計430,400円
※残った分はそのまま貯蓄にまわす

武藤さんの4つのアドバイス

1  「死亡保険」は保険料が節約できそう。ネット保険への掛け替えなどを検討しよう
2  妻の収入も生活費に充てていることから「定期保険」の加入を考える
3  2人とも「医療保険」に未加入。最低限の保障確保を考えてみよう
4  「学資保険」の医療保険特約は、基本的に不要。外せば保険料を下げられる

アドバイス1 「死亡保険」の保険料は抑えられる可能性アリ

まず夫の「死亡保険」の保険料、月33,000円ですが、おおよその目安が「生命保険は(世帯)収入の1割まで」なので、その点ではクリアと言えます。ただし、ネット保険などに切り替えれば、同じ保障内容で保険料が5,000円ほど下げられる可能性があります。

もしくは、必要保障額や保険料払込期間、保険期間を見直して、「保障額はこんなに必要ない」と分かれば、保険料を節約できる場合があります

遺族の支出のうち生活費からは、亡くなった後に不要となる費用も引いておきましょう。たとえば、夫が亡くなった場合なら、夫の分の食費や小遣いなど。仮に、元々の生活費が40万円、夫の分の食費や小遣いが6万円とすれば、「40万円-6万円=34万円」が亡くなった後の生活費となります。

アドバイス2 妻の「死亡保障」は定期タイプで備える

妻は死亡保険に入るべき?

パート勤務をしている妻は死亡保険に加入していませんが、不要でしょうか。妻の死亡保険が必要かどうかを判断する基準は、「万が一、妻が亡くなった時、夫のみの収入で生活費や子どもの教育費をまかなえるかどうか」です。

現在、妻の年収は200万円で、手取り月収としては13万5,000円を得ています。一家の主な稼ぎ手は夫ですが、妻の収入が家計に与える影響は小さくはありません。妻が死亡することで不足する金額については、子どもが独立するまでや住宅ローンを返し終わるまでの間、「定期保険」もしくは「収入保障保険」で備えておくといいでしょう。

アドバイス3 「医療保険」は必ずしも必要ではない

次は、「医療保険」はどうでしょうか。今回の家族の場合、貯金がそれなりにあることや、「何となく必要性を感じてこなかった」ことを理由に、医療保険の加入を見送ってきたようですが、貯金がある共働き家庭に医療保険は必要なのでしょうか。

結論としては、医療保険への加入は必ずしも必要ないと言えます。相談者が自営業者ではないく、いざという時のための貯蓄があるからです。会社員なら病気やケガで働けない期間があっても、健康保険から「傷病手当金」が支給され、まったくの無収入にはなりません。

仮に高額な医療費がかかったとしても、「高額療養費制度」により、月の医療費の上限は9万円程度に抑えることができます。そもそも、医療費の自己負担額は3割で済みますし、相談者のように貯蓄があればなおのこと、民間医療保険の優先度は低くなります。

必要最低限の保障を備えておこう

ただし、病気やケガで入院しても、当然そのすべては公的医療保険でまかなえません。医療費の自己負担額に加え、差額ベッド代や入院中の日用品などは自分で支払う必要があります。

入院時の「1日あたりの自己負担費用」は、「10,000円~15,000円未満」が最多(生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和元年度)」)。病気やケガで入院すると、1日につき1万円前後は自腹になる可能性があります。

医療費のための貯蓄が十分である場合は別ですが、「貯蓄があっても他の目的に使いたい」なら、必要最低限の医療保障を備えておきましょう。貯蓄性は必要なく、掛け捨てでOK。ネット保険や共済などは、保険料が安く抑えられておすすめです。

医療保険による備えは。入院日額は1万円、支払限度日数は120日を目安にするといいでしょう。というのも、最近では、入院日数の短期化が進んでおり、一般病床の入院日数は平均16.0日ですが、精神疾患での入院は平均265.8日、リハビリや介護を目的とした入院は平均135.9日となっているからです(厚生労働省「令和元年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」)。

ちなみにプラスしてがん保険に加入するなら、医療保険の支払限度日数を60日にしていいでしょう。がん保険は、支払限度日数が無制限となっているものが多いからです。

アドバイス4 「学資保険」は基本的に特約なしでOK

最後に「学資保険」。今回のケースでは、2人の学資保険に加入、児童手当をそのまま保険料に充てているほか、毎月1万円ずつ計2万円を積み立てしっかり準備ができていますが、 一つだけ見直したいのは、学資保険に「医療保険特約」が付帯していることです。

これはいわば「子どもの医療保険」で、一般の医療保険と同じように、病気やケガで入院したり手術を受けたりした時、入院給付金や手術給付金が受け取れるというもの。 多くの自治体では、子どもの医療費を助成する制度があるため、子どもの民間医療保険は必要性が低いと言えます。医療保険特約を外せば、その分保険料を安くできます。

保険は放置せずメンテナンスが必要

保険は、ライフステージによって必要な保障や金額がガラッと変わっていることもあります。加入したまま放置せず、定期的にメンテナンスする気持ちで見直してみましょう。

文・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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