「ベーシックインカム」──国から毎月お金がもらえる最強制度?

2021/12/24 20:15

https://money.smt.docomo.ne.jp/column-detail/image/LS_k18izTMGNPvHQF688Dw.jpg
コロナ禍の影響を受けて国民に配られた10万円の特別定額給付金は、多くの人が受け取ったことでしょう。「国が毎月くれるなら、働きにも出ず部屋で外出自粛するんだけど」と思った人も多いかもしれません。 今回のテーマである「ベーシックインカム」(Basic Income)は、まさにそんな「国が無条件でお金をくれる制度」です。 一

コロナ禍の影響を受けて国民に配られた10万円の特別定額給付金は、多くの人が受け取ったことでしょう。「国が毎月くれるなら、働きにも出ず部屋で外出自粛するんだけど」と思った人も多いかもしれません。

今回のテーマである「ベーシックインカム」(Basic Income)は、まさにそんな「国が無条件でお金をくれる制度」です。

一人あたり毎月7万円……それで足りる?国は払えるの?

そのコトバ、子どもに説明できますか?

なぜ「ベーシック」(基本)かというと、「生きていくor生活をする」のに「最低限必要な金額」だと考えられるからです。年齢や性別、家族や病気の有無、所得水準などは一切関係なく、全員平等に受け取れます。

「夢のような制度だ」と勘違いされている方もかなり多いのですが、そうとは言えなさそうです。

ベーシックインカムについては以前から、一人当たり月7万円でどうかという議論がありますが、7万円だけで生活できるかというと難しいでしょう。

さらに国民全体に配るとなると100兆円近くかかります。7万円ですらこれだけの予算が必要です。私達が働かなくても生活できるくらいの金額を配るのは、かなり難しいでしょう。

ベーシックインカムを導入するなら生活保護制度はどうなる?

国の支えで生活するという点で、ベーシックインカムがよく比較されるのが「生活保護」です。なぜ生活保護があるかというと、日本国憲法の第25条で「生存権」が定められているからです。

憲法25条
第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

25条では、日本国民が「健康で文化的な最低限度の生活」を送れるように、生活に困窮する人々を国が救わなければいけないと定められています。そのためにあるのが生活保護制度です。

生活保護制度で救われている人が多いのも事実ですが、課題も少なくありません。たとえば不正受給が起きたり、受け取るために申請~審査があって時間がかかったりといったことです。

生活保護を受けるためには条件がありますが、ベーシックインカムにはありません。つまりベーシックインカムを導入して国民全員に一律にお金を配ってしまえば、生活保護を対象かどうかという判断をする必要がなくなるというわけです。

国の責任がベーシックインカムに限定される?

ベーシックインカムは一見優れた制度に思えます。メリットも見えやすいですし、基本的には全員が一律でお金を受け取る制度のため、「あの人だけずるい」といったことが起きないからです。

しかし、生活保護を含めこれまでに整備された社会保障制度をベーシックインカムに統一するということは、大ざっぱに言えば「国の責任はベーシックインカムの範囲だけ」ということ。つまり「それ以上の問題は自己責任で解決してね」ということです。

また、ベーシックインカムは当然年金制度にも関係します。自分の老後のために厚生年金を長年納めてきたサラリーマン・OLたちから、「なぜ年金を納めなかった人達も一律でお金が受け取れるんだ」と反発する声が出てもおかしくありません。

世界を見渡せば、限定的な形でベーシックインカムを導入している国や、実験している国はあります。よりよい社会にしていくために、柔軟な発想で様々な角度から物事を考えることは有意義なことです。日本でも、ベーシックインカムについては議論することが大事です。

文・若杉篤史(RAKAN RICERCA代表)
編集・dメニューマネー編集部
画像・theevening / stock.adobe.com(画像はイメージです)

【関連記事】
9月から手取りが減るのはどんな人?
初心者向け!ネット証券オススメランキング(外部サイト)
読める?「浦塩斯徳」ってどこ?
株主優待をタダ取りする裏ワザとは?(外部サイト)
年間6000円!丸亀製麺で使える割引券

(2021年9月19日公開記事)