iDeCo(イデコ)をこれからする人も、既に始めている人も悩むのが「掛金はいくらが適正なのか」ということです。老後に必要な額は人それぞれのため、適正額は異なるでしょうが、「他の人はいくら払っているのか」は参考になるでしょう。
企業年金のない会社員の平均は毎月1.6万円、主婦は1.5万円
イデコの平均額は会社員や公務員は1.4万円、自営業者やフリーランスの人は2.8万円、主婦などは1.5万円です。
それぞれ分けて紹介したのは、職業などに応じて3つの区分に分かれていて、掛金をいくらまで出せるのか、上限額は区分ごとに異なるからです。
自営業者やフリーランスなど (第1号被保険者) | 会社員や公務員 (第2号被保険者) | 会社員や公務員の配偶者会(第3号被保険者) | |
---|---|---|---|
上限(月額) | 6.8万円 | 1.2~2.3万円 | 22.3万円 |
会社員や公務員は、勤務先に企業年金があるかなどによって、掛金の上限額が異なります。
上限額は、勤務先に企業年金がない会社員は2.3万円、企業型DC(確定拠出年金)に加入している会社員は2万円、公務員やDB(確定給付企業年金)のみに加入している会社員、DBと企業型DCに加入している会社員は1.2万円です。
企業年金がない会社員の平均額は1.6万円、それ以外の会社員や公務員の平均額は1.1万円です。
月々の掛金額が1万円未満で、掛金を少額に設定している人の割合は、次のとおりです。
自営業者やフリーランスなど (第1号被保険者) | 会社員や公務員 (第2号被保険者) | 会社員や公務員の配偶者会(第3号被保険者) | |
---|---|---|---|
掛金1万円未満の割合 | 22% | 17% | 28% |
自営業者などは上限額が6.8万円と高いものの、掛金1.5万円未満の人が43%と半数近くを占めます。少額設定者が多く、そういった人から見ると平均額は高くなっています。
掛金額が少額の人と高額の人、2極化の傾向にある
毎月1万円未満しか掛け金を払っていない人が2〜3割弱いるのに、平均は1万円を大きく超えています。これは、掛金を高額で拠出している人が多いからでしょう。
例えば上限額が6.8万円の人の中で、掛金が6.5万円以上の人は21%います。結果的に平均額がその間の数字になるだけで、実は平均額で掛金を出している人が多いわけではありません。
専業主婦などの第3号被保険者(上限2.3万円)のうち、掛金が2万円以上の人の割合も50%と高くなっています。
掛金額は将来いくら年金を受け取りたいかを考えて決める
データを見て分かることは、掛金が高い人もいれば低い人もいてバラバラということです。
しかし、これでは「どうやって掛け金を決めればいいのか」という疑問は解消できません。
掛金額を決める際は、老後への備えと現在の生活への影響、この2つのバランスを自分なりに考えて決めるしかありません。たくさん掛け金を出せば将来は楽かもしれませんが、今の生活が苦しくなってしまいます。逆に少ない掛け金だと、将来には不安が残ります。
一つ具体的な考え方を紹介しましょう。例えば毎月いくら掛金を出すと年金をいくら受け取れるのか、具体的な金額を計算すると、イメージがわいて掛金額を決めやすくなります。
仮に30歳から60歳までの30年間、毎月1万円を拠出した場合、老後に向けて積み立てる掛金の合計額は360万円(12万円×30年)です。イデコでは拠出した掛金を自分で運用する仕組みで、運用がうまくいくかどうかで、360万円より増える場合や減る場合があります。
もしも運用による増減がなく、年金の受取開始時点の積立資産額が360万円の場合は、20年に分けてもらうのであれば年間18万円受け取れます。年間18万円では足りないと思う場合は、掛金額を上げたり他の方法も併用して老後に備えたりするなど、検討が必要です。
そもそもイデコだけが将来への備えではありません。貯蓄やNISAなどほかの商品・サービスのことや公的年金の見通しもあわせて考えたいところです。なかなか決められないような場合、有料相談にのってくれるFPに話を聞いてみるのもいいかもしれません。
文/編集・dメニューマネー編集部
画像・aijiro / stock.adobe.com
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(2021年9月20日公開記事)