誰もが最後は亡くなる。そして故人との最後のお別れを陰から支えるのが「葬儀会社」だ。社会に無くてはならない業種であると言えるが、一方で葬儀会社の平均年収は高いのだろうか。葬儀を事業展開している上場企業の平均年収をランキング形式で紹介しよう。
平均年収ランキングTOP6
次の表が、葬儀を事業として展開している上場企業の平均年収ランキングだ。最新の有価証券報告書から、各社の金額を紹介する。
葬儀会社の平均年収ランキングTOP6 | |
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企業名 | 平均年収 |
燦ホールディングス | 7,679,000円 |
きずなホールディングス | 6,900,000円 |
ティア | 5,226,000円 |
こころネット | 5,114,379円 |
ニチリョク | 5,061,000円 |
サン・ライフホールディング | 4,976,000円 |
結果として、葬儀会社の公益社を子会社に有する「燦ホールディングス」<9628>が首位で、7,679,000円だった。売上高が業界で最も大きいのも燦ホールディングスだ。
2位になったのが「きずなホールディングス」<7086> だ。1日1組限定の斎場として「家族葬のファミーユ」を全国展開している。2020年3月にマザーズに上場したばかりの企業で、現在勢いがある葬儀会社だ。
そして3位となったのが「ティア」<2485> 。平均年収は5,226,000円だった。愛知や東京、大阪などで葬儀場を展開しており、業界における売上高は燦ホールディングスに次ぐ規模となっている。
今後は平均年収が下がっていく?
このランキングで紹介した6社の平均年収は約582万円で、上場企業だからということもあるが、日本人の2019年時点の平均年収である436万円よりは146万円も高い。ただし、葬儀業界に関しては、今後は平均年収が下がっていくことが懸念されている。なぜか。
その理由は、葬儀料金の単価が年々低くなりつつあるからだ。経済産業省が公表している「特定サービス産業動態統計調査」における葬儀業のデータから算出すると、以下の通りとなる。
葬儀1件当たりの単価の推移 | |
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年 | 葬儀1件当たりの単価 |
2010 | 145万円 |
2011 | 143万円 |
2012 | 141万円 |
2013 | 141万円 |
2014 | 142万円 |
2015 | 144万円 |
2016 | 143万円 |
2017 | 141万円 |
2018 | 137万円 |
2019 | 134万円 |
2020 | 117万円 |
コロナ禍が起きた2020年の単価が著しく低いため分析の対象から外すとしても、2010年に145万円だった単価が2019年には134万円まで落ち込んでいる。葬儀の小規模化が進んでいることや、高齢化を商機とみて葬儀業界に参入する企業が増えていることが理由だ。
葬儀単価が下がっていくことは、葬儀各社の売上にとっては逆風だ。業界全体で業績が悪化する企業が増えていけば、葬儀会社の従業員の平均年収も下がっていくかもしれない。
将来的には収入面がやや不安な業種
注目されることが少ない葬儀業界の平均年収に焦点を当ててみたところ、上場企業に限れば日本人の平均年収よりは高いが、将来的には収入面ではやや不安があるといった状況だ。今後の各社の平均年収の推移に、引き続き注目していきたい。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
画像・akiyoko / stock.adobe.com(画像はイメージです)
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(2021年9月20日公開記事)