連載「お金の心理学」第8回 「無防備」を狙うマーケティング
お店側は消費者の財布のひもがゆるむ瞬間を狙っています。あなたは「ついでに買っている」と思っていても、実は「ついでに買わされている」かもしれません。レジ横の誘惑に負けてしまった経験がある人は、ぜひ読み進めてみてください。
「あっ、これもほしい……」と手が動く心理
次のような「ついで買い」の経験はありませんか?
「スーパーでたくさん買い物をした後、レジ横のガムをついカゴに入れた」「悩んだ末に洋服を買うことを決め、会計時にレジ横のアクセサリーもつい購入してしまった」「通販サイトで家具をカートに入れ、『これもおすすめ』という表示を見て、インテリア小物も一緒に買ってしまった」
「あっこれもほしい……」と思わず手が動く時、実は心理的な罠にはめられているかもしれません。
心のスキが「ついで買い」につながる
なぜレジ横の誘惑に負けてしまうのでしょうか?通販でレコメンドされると、どうして一緒にカートに入れたくなるのでしょうか?
これには、「心理的な無防備さ」が影響しています。
購入を決めるまでには、どれを買おうか悩んだり、もっと安く買える方法はないか調べたり、気を張った状態が続きます。そして、悩んだ末に購入の決断をすると、一気に緊張が解けます。この時、人間は警戒心や注意力のない、無防備な状態になります。
緊張が解けた瞬間、無防備な状態になることを、マーケティングの世界では「テンション・リダクション効果」といいます。無防備な状態では、開放感から財布のひもがゆるみやすくなります。
実は、テンション・リダクション効果を活用したマーケティングは幅広く行われています。
レジ横にちょっとした物を置く、通販サイトで類似商品をレコメンドする、飲食店で「ごいっしょにドリンクはいかがですか?」と一声かける。このような取り組みは、ついでに買わせるためのお店側の戦略なのです。
「ついで買い」の後悔を防ぐために
もちろん、レジ横にある商品やレコメンドされた商品、飲食店でおすすめされた商品が、本当に自分にとって必要なものということもあります。しかし、テンション・リダクション効果で気がゆるんだ状態でつい買ってしまい、「よくよく考えると必要なかった」とあとから後悔してしまうことも少なくありません。
「ついで買い」の誘惑に駆られた時は、「本当に必要か?」「価格は適正か?」「価格と満足度は見合っているか?」と自分に問いかけ、慎重に買うかどうかを決めましょう。
また、購入前の緊張が大きいほど、反動で「ついで買い」のハードルも下がります。
車や家電、家具など高額でずっと使うものを購入したあとや、洋服やアクセサリーなど種類が多く時間をかけて選ぶものを購入したあと、ちょっと背伸びして高級な旅館やレストランを利用した時などは、特に注意してください。
お店側の戦略を知って、後悔のない買い物をしましょう。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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(2021年9月25日公開記事)