投資と言えば、株を真っ先に思い浮かべる人も多いでしょうが、NISAで皆が買っているのは株式ではありません。それでは皆は何を買っているのでしょうか。
買付額の半分以上を占める投資信託
NISA(ニーサ)は、一定額までの投資で得られた利益が非課税になるお得な制度です。国内外の株、投信、ETF、REIT(不動産投資信託)に投資できますが、商品選びは誰にとっても悩ましいものです。
皆はどんな商品を選んでいるのでしょうか? 2020年12月末時点のデータを見てみましょう。
商品名 | 買付額 (単位:万円) | 割合 (単位:%) |
---|---|---|
投資信託 | 1,244,730,016 | 57.3 |
上場株式 | 867,284,247 | 40.0 |
ETF | 38,854,001 | 1.8 |
REIT | 19,884,407 | 0.9 |
買付額の半分以上を占めるのは、「投資信託」です。次いで多いのが株で、投資信託と株で全体の97%以上を占めています。
株の1.4倍の買付額を誇る「投資信託」はどんな商品?
投資信託は、投資家から集めた資金を専門家が運用し、運用益を投資家に分配してくれる商品です。投資先は、国内外の株式や債券などいろいろです。投資信託を買えば、間接的に複数の株や債券に分散して投資できるのです。
投資信託は、投資初心者にとっても比較的リスクの低い商品だと言われています。その理由は2つあります。
1つ目は、「運用を専門家に任せられること」です。投資信託なら、自分で株や債券を分析して選ぶ必要がありません。
2つ目の理由は、複数の商品に投資するため「リスクを分散できること」です。1つの株に投資していた場合、業績悪化や倒産で価値が下がり、時には0円になってしまうこともあり得ます。一方、投資信託なら、複数の投資先のすべてが一斉に倒産するようなことはめったに起きません。
NISAは実は株式投資に向いていない?
NISAで投資信託が選ばれている理由には、投信が魅力的であることのほかに、株式があまり向いていないという側面もあります。というのも、通常の口座ではなくNISA口座で株を買うと、「損益通算」ができないのです。
損益通算とは、赤字を利益と相殺することです。たとえば通常の口座で、A株で20万円赤字が出て、B株で30万円利益が出た場合、赤字と利益が相殺され、10万円に対して約2割の税金がかかります。
しかし、A株をNISA口座で買い、B株を通常の口座で買っていた場合、損益通算ができません。A株の赤字はなかったこととされ、B株の利益30万円分に丸ごと約2割の税金がかかります。
NISAで株を買う時は、損益通算できないという特性をよく理解しておく必要があります。
初心者がNISAを始めるなら投信が安心
このようなNISA口座の特性から、多くの投資家が、大きな赤字になりにくい投資信託を購入しているのかもしれません。
初めて投資をするなら、商品の特徴や値動きをしっかり自分で予測できるようになるまで、投資信託で運用したほうが安心でしょう。
文・木崎涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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(2021年9月28日公開記事)