【連載】日経平均ってなんだろう? 1分解説 第11回
日経平均の構成銘柄は、毎年10月、定期的に入れ替えられています。この見直し・入れ替えがなぜ行われるかというと、「構成銘柄が市場の代表である」という状態を維持するためです。
36業種を6セクターに分けてバランスをとっている
時代が変われば、市場で存在感を放つ産業も変わります。たとえば数十年前と現在を比べれば、市場全体に占める「海運」や「鉄鋼」の割合や存在感も小さくなっているのではないでしょうか。そのかわり、ITやサービスのそれが大きくなっているはずです。
こうした変化も踏まえるため、業種の銘柄のバランスを考慮し、市場流動性の高い銘柄を選びます(市場流動性の低い銘柄は除外)。
流動性の高い銘柄の上位450銘柄のうち、上位75銘柄は自動的に日経平均に採用されます。そして残りの375銘柄から、業種のバランスを加味して155銘柄が選定ばれます。
この業種分類は、日経業種分類では36あります(なお東京証券取引所が選定している業種分類は33です)。
さすがに36業種でバランスを取るのは難しく、日経平均構成銘柄の選定では6セクターに大分類して判断しています。6セクターは「金融」「消費」「技術」「素材」「運輸・公共」「資本財・その他」です。
6つのセクター | 日経業種分類36業種 |
---|---|
技術 | 医薬品、電気機器、自動車、精密機器、通信 |
金融 | 銀行、その他金融、証券、保険 |
消費 | 水産、食品、小売、サービス |
素材 | 鉱業、機械、パルプ・紙、化学、石油、ゴム、窯業、鉄鋼、非鉄・金属、商社 |
資本財・その他 | 建設、機械、造船、輸送用機器、その他製造、不動産 |
運輸・公共 | 鉄道・バス、陸運、海運、空運、倉庫、電力、ガス |
電気機器は28銘柄、でも空運や倉庫などは各1銘柄
ちなみに、選定の際にバランスに気を配ってはいるものの、実際は業種によって採用銘柄数に大きな開きがあります。
例えば本稿執筆の2021年9月上旬時点で、「電気機器」の採用数は28銘柄に対して、「空運」や「倉庫」、「鉱業」は各1銘柄の採用です。これは、先程話した高流動性の450銘柄のうち、各業種に属する銘柄の2分の1がその業種の妥当銘柄数と考えるからです。
なお、大別した6セクターのなかで、「技術」セクターに集約されている業種は、医薬品、自動車、通信、電気機器、精密機器の5つです。
「技術」セクターは構成銘柄の25.8%を占めています。自動車では、トヨタ自動車 <7203> をはじめとする大手メーカーすべてが以前から採用されています。電気機器では半導体製造装置メーカーの東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト <6857> のほか、ソニーグループ <6758> 、日本電気 <6701> 、富士通 <6702> 、日立 <6501> など日本を代表する大手電機メーカーがおおむね採用されています。
今回の定期入れ替えでは、この「技術」セクターから除外されたのが、日清紡ホールディングス <3105> 、スカパーJSATホールディングス <9412> で、新たに採用されたのがキーエンス <6861> 、村田製作所 <6981> です。別セクターですが任天堂 <7974> も採用されています。
「金融」「消費」「素材」などほかのセクターについてはまた別の回で解説します。
文・村瀬智一(RAKAN RICERCAアナリスト)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
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(2021年9月28日公開記事)