「お金持ちの息子は甘ったれ」は本当か?1,000人以上の富裕層を見てきて思うこと

2021/12/19 12:30

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「お金持ちの息子は甘ったれ」という意見を見かけることがあります。これは本当なのでしょうか? 筆者は「東京の私立御三家幼稚園→私立御三家小学校→以後大学までエスカレーター進学」という典型的なお受験ルートを通ってきたため、幼少期からたくさんの富裕層を見てきました。また、大学卒業後は野村證券の営業マンとして、現在はファイナン

「お金持ちの息子は甘ったれ」という意見を見かけることがあります。これは本当なのでしょうか?

筆者は「東京の私立御三家幼稚園→私立御三家小学校→以後大学までエスカレーター進学」という典型的なお受験ルートを通ってきたため、幼少期からたくさんの富裕層を見てきました。また、大学卒業後は野村證券の営業マンとして、現在はファイナンシャル・プランナーとして、多くの富裕層を見てきました(延べ1,000人以上)。

お金持ちは星の数ほど存在するため、家庭によって異なることは前提のうえで、上記命題を検証してみたいと思います。なお、何をもって「甘ったれなのか」「ダメダメなのか」は定性的な切り分けであり、本稿は筆者の個人的見解であることをご了承下さい。

非常に優秀か全然ダメか、の両極端

確かに富裕層の息子は、本当の意味でお金に困った経験がほとんどなく、幼少期から贅沢に慣れています。一般的に富裕層は社会的地位も高いため、その子供ということで、チヤホヤさせて育つことも否定できません。また、有名私立大学の小学校や幼稚園に入る人も多いため、よほど道を外れなければ、エスカレーター進学することで労せず「有名私立大卒」の肩書を手に入れることができます。

しかし、1,000人以上の富裕層と接した筆者からすれば、「お金持ちの息子は甘ったれ」は半分正解であり、半分誤りです。あくまで筆者の経験則ですが、富裕層の息子は非常に優秀か、まったくそうでないかのどちらか極端なことが多く、中間は少ない傾向にあります。通常のコミュニティは「2:6:2の法則」のように中間がボリュームゾーンになると思いますが、おそらく6割もないでしょう。

開業医は学業への視点が厳しい

両極端になる理由は、親の属性も関係していると思われます。例えば富裕層の代名詞のひとつ「開業医」の息子であれば、ほとんどの場合、医者になることが求められます。必然的に学業への視点が厳しくなり、優秀ゾーンに入りやすくなります。知識を武器に大金を稼ぎ続けてきたこともあってか、親が医者の場合は、跡継ぎ候補ではない子供に対しても教育が厳しいことが多いです。

弁護士や大企業エグゼクティブの息子も同様のロジックから、優秀ゾーンに入ることが多いです。なお、親がグローバルで活躍していればいるほど、子供の語学力と学歴が高くなる傾向が読み取れます。親側が「それがないと戦えない」と痛感して、教育を強化することが関係しているのかもしれません。

不動産オーナーにはダメダメな人が多い?

一方、比較的「ダメダメ」な感じになりやすいのが地主などの不動産オーナーです。「不動産オーナーに知識は必要ない」と言う気はまったくありませんが、それでも富の源泉は不動産そのものであり、例え語学力や学歴がなくても、不動産を引き継いでいけば、それなりに事業が回ります。そのため、医者や弁護士、大企業エグゼクティブなどに比べて「教育への熱量」が下がってしまうことは致し方ないと言えるでしょう。

「昭和の地価が安い時代に、たまたま祖父が良い場所(銀座や青山など)に土地を持っていたため、そこにビルやマンションを建てることで、今は左うちわで暮らすことができている。おじいちゃん、ありがとう!」という人をたくさん見てきました。日本は相続税の負担が重いとはいえ、不動産への課税は基本的に優遇されています。そのため、「左うちわ族」を排除しきることは難しいのです。

オーナー経営者息子が背負う苦悩や重圧

判断が難しいのがオーナー経営者の息子です。一般論として、2代目以降は創業者のようなカリスマ性や突破力がなく、それが相対的に弱々しく見えてしまい、甘ったれという評価に繋がってしまうのかもしれません。

富裕層で一番多いのがオーナー経営者ですので、筆者もたくさんの「オーナー経営者息子」を見てきました。そのなかでひしひしと感じるのは、生まれながらにして家業を継ぐことを求められてきた苦悩、先代と比べられることで否が応にも感じる自分の未熟さ、たくさんの雇用(そしてその奥にいる家族の生活)を背負う重圧などです。

親が相当に能力重視でない限り、名門大出身だろうとFラン大学出身であろうと、30歳前後には家業に戻ってきて、すぐに部長や専務に昇進して、大した実績がなくても社長に就任し、悪くない役員給与を取ることは事実です。甘ったれと言えば、甘ったれなのかもしれません。しかし、何ひとつ不自由なくリッチな暮らしをしているように見えても、その立場ゆえの悩みは尽きないものなのです。

文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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