ホームズ、金田一耕助、コナン……彼らは小説やマンガの主人公の職業でも人気が高い「探偵」だ。さまざまな人々のヒューマンストーリーに触れる仕事だけに、話のネタに困ることはない。そんな探偵という刺激的な職業に憧れる若者も一定数いると思うが、あまり目を向けられていないのが探偵の「月給」だ。

大手事務所の初任給は、低くても18万円程度

冒頭に挙げた探偵は企業所属ではないが、探偵として働くことを目指すのであれば、個人事務所をいきなり開業するより、探偵事務所の採用試験を受けるのが一般的なルートだ。そして探偵として働く上でなるべく高い年収を目指すのであれば、当然、大手の探偵事務所に入社する方ほうがいいだろう。

日本における大手探偵事務所としては6〜7社が挙げられるが、その中で求人情報や募集要項を公開している事務所が3社あった。早速、3社の月給を比較していこう。

いわゆる探偵に相当する「調査員」の求人情報が公開されていた3社の中で、最も月給が低いのは「さくら幸子探偵事務所」で18万円だった。一方、「原一探偵事務所」は月給26万円、「ハル探偵事務所」は月給27万円と高い。

厚生労働省が2019年度にまとめた「賃金構造基本統計調査結果（初任給）」によれば、大学卒の初任給の平均額は21万200円だ。つまり大手探偵事務所の場合、この平均額を上回る給与を受け取れる可能性が十分にあるということになる。

歩合や手当を含めれば月給50万円以上も

しかも探偵事務所の場合、能力に応じて歩合給が多く加算されるケースがある。例えばさくら幸子探偵事務所では、月給の下限は18万円だが「50万円以上も可」とされている。

探偵事務所の場合、利用客に対する料金システムが「成果報酬制」であるケースも多い。そのため、しっかりと成果を出せた調査員にはより多く給与が支払われるわけだ。

ちなみに先ほどの表の中には「ライダー調査員」という職種もあり、普通の調査員より月給が高いことに気が付いただろうか。ライダー調査員とは、バイクでの追尾がメインの探偵のことで、バイクの運転技術も求められている分、普通の調査員より収入が高くなっている。

小説家や漫画家を目指している人にぴったり？

探偵としてより高い年収を目指すなら、独立・開業するという方法もある。腕に自慢があるなら選択肢の1つではあるが、探偵業を営む場合は都道府県の公安委員会に営業の届出をする必要があるなど、一定の手続きを経る必要がある。

最後になるが、冒頭触れた通り、探偵という職業はさまざまな人々の人生と向き合う仕事だ。そのため、単に探偵になることを夢見ている人だけではなく、小説家や漫画家を目指している人にとっても、良い職業かもしれない。

もしあなたが小説家や漫画家を目指しているなら、大手探偵事務所の門を叩いてみてはいかがだろうか。

文・岡本一道（経済ジャーナリスト）
編集・dメニューマネー編集部

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（2021年10月5日公開記事）