働き方が多様化し、フリーランスにも注目が集まっていますが、フリーランスは会社員に比べて保障が少ない「公的保障弱者」であることに注意が必要です。フリーランスが行うべき保障対策を4つにまとめてみました。
フリーランスが増加中!その魅力とは
フリーランスは各種調査によって数はまちまちですが、内閣府、中小企業庁、厚生労働省などの集計結果はどれも300〜400万人台としており、一定数いることが分かります。
フリーランスにはどのような魅力があるのでしょうか。例えば、場所や時間に囚われない自由なワークスタイルを実現できる、家族との時間が増える、業務量を自分でコントロールできる、マネジメントに工数を割かれることなく自分のことだけに集中できる、場合によって収入増加も期待できる、などが挙げられます。
公的保障の視点から考えるフリーランスのデメリット
一方で収入が安定しなかったり、ネットワークが広がりづらかったりするなどのデメリットもあります。特に、公的保障が会社員に比べて手薄なのは、大きなデメリットと言えるでしょう。例えば以下のようなことが挙げられます。
雇用保険に加入しないため、その保障がない
フリーランスは雇用主がいませんので、雇用保険には加入しません。そのため、失業給付金や育児給付金などを受け取ることができません。
社会保険料の負担が大きい
会社員の場合は、労災保険料は原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。年金保険料や健康保険料は必ずしも労使折半ではありませんが、概ね半分を事業主が負担してくれています。しかし、フリーランスの場合は、必要なものは全額を自己負担する必要があります。
年金は国民年金(老齢基礎年金)のみ
公的年金には国民年金、厚生年金、共済年金の3種類がありますが、フリーランスが加入するのは国民年金のみです。会社員であれば、国民年金と厚生年金に加入することに加えて、厚生年金は前述のように概ね半分を事業主が負担してくれるため、フリーランスに比べて厚遇されていると言えます。
フリーランスが自分で行える対策には何がある?
このように、フリーランスは会社員に比べて保障が少ない「公的保障弱者」です。したがって、フリーランスは自分で対策を打つ必要があります。ここからは4つの対策を紹介していきます。
対策1 所得補償保険に入る
病気やケガで働けなくなったときのための保険です。「どれくらいの補償が必要か」は家族構成や年齢、資産の多寡によって異なりますが、フリーランスは原則として失業保険の対象ではありませんので、このような保険で自己防衛することが重要です。
対策2 国民年金基金を始める
フリーランスの公的年金は国民年金だけと述べましたが、それは強制加入させられるのが一つだけという意味であり、任意で加入できる公的年金の2階部分は用意されています。それが国民年金基金です。
少ない掛金・自由なプランで始められ、掛金は全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されます。加入時の年齢やプランに応じた掛金を払えば、老後はずっと一定金額がもらえる終身年金であることも特徴です。老後資金に不安がある人は、国民年金基金への加入を検討すると良いでしょう。
対策3 イデコを始める
「掛金を拠出するとき」「運用益がでたとき」「受け取るとき」の3点において税金が優遇されており、近年「老後資産づくりの有益な方法」として注目が集まっている私的年金制度です。毎月(毎年)一定額を拠出し、自分で運用指示をします。したがって、国民年金基金と異なり、運用成果は自己責任となります。国民年金基金との併用も可能なので、自分のスタイルに応じて使い分けると良いでしょう。
対策4 小規模企業共済を活用する
フリーランスが廃業したときの生活資金を積み立てる制度です。掛金が全額所得控除できるなどの税制メリットに加え、事業資金の借入れにも活用することができます。国民年金基金やiDeCoとの併用も可能です。
フリーランスには会社員と違って退職金がありません。そのため、小規模企業共済のような制度で自主的に用意することが重要です。
自分の状況を客観的に判断して、必要なものを用意しよう
ここまで、フリーランスが行うべき保障対策について見てきました。フリーランスは多くのメリットがある一方、会社員に比べて保障が少ない「公的保障弱者」でもあります。
必ずしもこれらの対策を行う必要があるわけではありませんが、自分の状況を客観的に判断して、必要なものは時間と手間(とお金)を惜しまずに用意したほうが良いでしょう。
文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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