国民の年金が減る?投資家が岸田政権に下した厳しい評価

2021/12/14 18:45

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岸田総裁が決まった後、日経平均株価は2,890円下落。株式市場は岸田氏に厳しい評価を下した。岸田氏が政策として掲げていた金融所得課税を嫌気しての売りだとの見方が主流だが、8日の所信表明演説と前後して日経平均株価は急反発している。市場の評価を再確認しよう。 岸田総裁誕生に株式市場は厳しい評価 菅退陣発表後の上昇を吹き飛ば

岸田総裁が決まった後、日経平均株価は2,890円下落。株式市場は岸田氏に厳しい評価を下した。岸田氏が政策として掲げていた金融所得課税を嫌気しての売りだとの見方が主流だが、8日の所信表明演説と前後して日経平均株価は急反発している。市場の評価を再確認しよう。

岸田総裁誕生に株式市場は厳しい評価 菅退陣発表後の上昇を吹き飛ばす

菅前首相が突然の退陣表明をしたのが9月3日。市場は政治改革を期待して日経平均は急騰し584円高の2万9,128円で引けた。岸田、河野の両有力候補が古い日本の政治や経済体制を変革する事を期待して、9月14日には日経平均は21年ぶりの高値となる3万795円まで上昇し、退陣表明前から2,252円の上昇だった。

その後、自民党総裁選で岸田新総裁が決まった9月29日以降は6日連続で下落し、10月6日には2万7,293円まで下げた。総裁選前日からの下げ幅は2,890円となり、菅退陣の上げ幅を完全に吹き飛ばした。株式市場は岸田新政権に厳しい評価を下したといえるだろう。

「金融所得課税は当面触らない」発言で株価上昇

連日の株価下落は、岸田氏が掲げる政策の経済対策が弱い点、金融所得課税を検討していることを嫌気したとの見方が主流だ。金融所得課税は資本の分配する政策の一環であり、株式投資などで得た利益はどれだけ多くても税率が一律20%と変わらないことから富裕者層の金融所得税を見直すことを検討している。

岸田首相の所信表明演説は8日に行われた。経済政策の根幹は、成長と分配の好循環による「新しい資本主義」の実現だ。成長戦略としては、デジタル、グリーン、人工知能(AI)、量子、バイオ、宇宙といった先端分野などの促進を掲げ、10兆円規模の大学ファンドを年度内に設置することなどを語った。

すでに政策として語られていた範疇の内容であり、具体的な施策に欠けるとの声も多かったが、7日に岸田新政権以来初の上昇となった日経平均は、所信表明演説が伝わった8日にも370円高と続伸した。さらに、10日に行われたテレビ番組のインタビューで金融所得課税は当面触らないと明言。週明け11日の日経平均449.26円高を牽引した。

金融所得課税は年金原資にも関わる「他人事ではない」テーマ

もちろん、就任後の日経平均の下落は岸田要因だけではない。米国でコロナ後の景気回復で金融緩和の終焉が前倒しで行われる見込みが強くなり長期債利回りが上昇していること、原油等の値上がりでインフレ懸念が高まっていること、コロナで市場に資金投入して拡大している連邦債務の上限の期限が近づいていること、中国の恒大集団の破綻懸念があることなどが株安要因として挙げられる。

支持率でも株価でも厳しい評価ではじまった岸田新政権が今後この教訓を活かして改革をすすめられるかを株式市場は注目している。そして、金融所得課税は投資家だけに関わる話ではない。金融所得課税が嫌気され株式市場が下落すれば株式等のリスク資産で運用している日本国民の年金原資も減少する。投資をしていない人にとっても他人事ではないのだ。

文/編集・dメニューマネー編集部

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