給与体系が知られていない職業と言えば、「芸能人」が挙がるのではないだろうか。月給制なのか、歩合制なのか。歩合制だとしたら、事務所と芸能人のギャラの取り分はどのくらいの割合なのか。分析していこう(文中敬称略)。
芸能事務所のギャラの配分率を調査
結論から言えば、芸能人の給与体系は「固定給料制」「完全歩合制」「固定給料制+歩合制」の3種類が存在している。
駆け出しのアイドルなどの場合は月給制の場合もあるが、基本的には完全歩合制か、低めの固定給に歩合分がプラスされるケースが多くなっている。
完全歩合制の場合、事務所によって芸能人とギャラの配分率は異なる。配分率は基本的には公表されていないが、事務所の社長が明らかにしたケースなどを参考に、比較してみよう。
芸能事務所のギャラの配分率 | |
---|---|
芸能事務所 | ギャラの配分率(事務所:芸能人) |
吉本興業 | 5:5〜6:4 |
浅井企画 | 3:7 |
ワタナベエンターテインメント | 3:7 |
事務所A | 4:6 |
事務所B | 5:5 |
事務所C | 6:4 |
芸能事務所ごとに配分率はまちまち
吉本興業のギャラについては、同社の岡本昭彦社長が「闇営業問題」をめぐる会見の場で触れたことがある。その際には「(事務所と芸人の比率は)5対5から6対4」と明かしている。ただし、吉本興業の若手芸人がかつて「1:9」と明かしたことも。幅があるようだ。
萩本欽一や関根勤などのマネジメントを手掛ける浅井企画については、過去にテレビ番組に出演した同社の浅井良一社長が、事務所3割、タレント7割だと明かしている。吉本興業に比べると、タレントの取り分がかなり高くなっている。
中山秀征や石塚英彦が所属するワタナベエンターテインメントも浅井企画と同様、事務所3割、タレント7割のようだ。日本テレビ系のバラエティ番組の中で、テレビ番組の制作スタッフが語っている。
ほか、真偽が特定しくにいケースは「事務所A〜C」という形で配分率を紹介したが、いずれにしても事務所によってギャラの配分率はかなり異なることは確かだ。
取り分だけが全てではない面も
このように比較してみると、芸能人側の取り分が大きい芸能事務所に所属した方が良いに決まっている気がするが、単純にそうは言えないのが実情のようだ。
歩合制の場合、仕事が少なければ収入も少なくなる。そのため、いくら芸能人側の取り分が大きい事務所でも、仕事をあまりくれない事務所に所属するのはベターな選択とは言えない。
今後は事務所の取り分が少なくなるかも
ギャラの配分率は、今後大きく変わってくるかもしれない。有名人であればYouTuberとして自ら稼げるようになったこともあり、今後は事務所の立場が弱くなってくることが考えられるからだ。そうすれば、事務所側が自らの取り分を下げざるを得ないかもしれない。
現在は最低でも事務所の取り分は3割程度だが、いずれは2割程度がスタンダードとなるかも?
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
画像・metamorworks / stock.adobe.com(画像はイメージです)
【関連記事】
・全国でガソリンが一番高い県はどこ?
・初心者向け!ネット証券オススメランキング(外部サイト)
・あの有名メーカーもコロナ倒産……負債額ワースト5
・株主優待をタダ取りする裏ワザとは?(外部サイト)
・10月から時給と月給、給料が上がる人とは?
(2021年10月21日公開記事)