「イカゲーム」「パラサイト」で描かれた韓国の格差社会、その実情

2021/12/28 07:45

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世界中でヒットした「イカゲーム」と「パラサイト」をはじめ、韓国では格差社会を生々しく描いた作品が数多く生み出されている。その実情はどうなっているのだろうか。 高層ビル群のとなりに大規模なスラム街が 「江南スタイル」で知られるソウルの中心街・江南(カンナム)に、韓国の格差社会を象徴する光景が広がっている。 華やかな高層ビ

世界中でヒットした「イカゲーム」と「パラサイト」をはじめ、韓国では格差社会を生々しく描いた作品が数多く生み出されている。その実情はどうなっているのだろうか。

高層ビル群のとなりに大規模なスラム街が

「江南スタイル」で知られるソウルの中心街・江南(カンナム)に、韓国の格差社会を象徴する光景が広がっている。

華やかな高層ビルが立ち並ぶ中心街と国内最大級のスラムである「九龍村」がとなり合っているのだ。九龍村には崩れかけのバラックが立ち並び、およそ1,000世帯が1日に10ドルの収入で暮らしているという。

韓国社会に顕著なのが、有名大学を出て大企業に就職するようなエリート層と学歴やキャリアを持たない下位層の格差がとりわけ大きいことだ。20代における資産格差は上位・下位20%で35倍にもなる。

九龍村は極端な例としても、「イカゲーム」や「パラサイト」が大げさではないくらいに状況は深刻なようだ。

「階級はくつがえせない」という諦め

こうした格差に対する人びとの意識をあらわす言葉として、若者の間で「スプーン階級論」が流行っている。

生まれた階級によって金や銀、そして土、泥とスプーンの色が決まり、それを変えることはできないという考え方だ。日本における「親ガチャ」の流行とよく似ている。

実際、それを受け入れるような流れが生まれており、大学を卒業する若者の半数近くが求職を諦めてしまうようなケースもある。「努力してもムダ」という意識がまん延しつつあるのだ。

自殺率はOECD加盟国でもワースト、一発逆転の「ゲーム」に破れる人も

浮上のきっかけをつかめない下位層にとって、数少ない一発逆転のチャンスが開業と投資だ。チキン店や仮想通貨で手っ取り早くひと山当てることを夢みる人は多い。

一方で、ノウハウがないまま開業して失敗したり、レバレッジ取引に熱中して全財産を失ったりと“ゲーム”に破れる人も後を絶たない。

絶望のうちに自殺するケースも多く、自殺率はOECD加盟国でもワースト。そこにコロナ禍がさらなる拍車をかけ、解決の糸口は見えていない。

韓国の格差問題の根は深い。「イカゲーム」や「パラサイト」の投げかけによって変化は訪れるのだろうか。

文/編集・dメニューマネー編集部
画像・VectorPlanet / stock.adobe.com(画像はイメージです)

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