「学校の先生」と「塾の講師」、どちらも教育に携わる仕事だ。勤務先こそ異なるものの、教えている内容も大きな違いはない。ではこの2つの職業は、平均年収も同程度なのか。それともかなり違いがあるのか。比較してみよう。
学校の先生と塾講師の平均年収を比較
厚生労働省がまとめた2019年の「賃金構造基本統計調査」によれば、「幼稚園の先生」「高校の先生」「塾講師」の平均年収は以下のようになっている。ちなみに、小中学校の先生についてはこの調査では比較されていないが、基本的には高校の先生とほぼ同水準だ。
「先生」の給与の比較 | |||
---|---|---|---|
職業 | 平均月収 | 平均ボーナス | 平均年収 |
幼稚園の先生 | 324,400円 | 976,700円 | 4,869,500円 |
高校の先生 | 458,700円 | 1,923,400円 | 7,427,800円 |
塾講師 | 307,800円 | 490,200円 | 4,183,800円 |
比較した結果、高校の先生(≒小中学校の先生)が塾の講師よりも圧倒的に高い。平均年収で言えば300万円以上の差がある。塾の講師は幼稚園の先生よりも低い。
ただし「塾」と一言で言っても、個人経営している小さな学習塾もあれば、株式市場に上場している大手学習塾もある。上場企業で塾講師として働いている場合の平均年収はいくらぐらいなのだろうか。
上場企業で塾講師として働く場合の平均年収は?
次の表が、学習塾を主力事業として展開している主要な上場企業の平均年収の比較だ。
学習塾を展開する上場企業の平均年収の比較 | |
---|---|
企業名 | 平均年収 |
ナガセ | 7,510,563円 |
早稲田アカデミー | 5,130,474円 |
リソー教育 | 6,550,000円 |
京進 | 4,579,000円 |
東京個別指導学院 | 5,015,000円 |
明光ネットワークジャパン | 4,918,946円 |
ウィザス | 5,143,304円 |
各企業の平均年収は、塾講師以外の従業員も含めた数字であるため、若干の上ブレや下ブレはあるが、売上高で業界トップクラスのナガセ<9733>(「東進ハイスクール」などを展開)でも700万円台で、そのほかの企業は500万〜600万円台が大半だ。
一方、高校の先生(≒小中学校の先生)の平均年収は7,427,800円だった。もし塾講師になる場合、かりに上場企業に勤めたとしても業界最大手の学習塾で働かない限りは、小中学校の先生には到底かなわないということになる。
平均年収では「学校の先生」に軍配
比較した結果、収入面を優先するのであれば、学習塾の講師よりも学校の先生になった方がいいということが分かった。しかし、民間の学習塾の方が能力を考慮されるケースが多いため、教える実力がある人は塾の講師として働いた方がたくさん稼げるかもしれない。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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