「パート収入を増やしたいけど、税金が増えると困る」──。そう考えて働く時間を減らし、年収を抑える人がたくさんいます。パート主婦の年収が増えると、本当に損なのでしょうか。パートで働いている主婦に「103万円の壁」があることはよく言われますが、実際には考えたほうがいい「壁」は6つあります。
パート主婦の前に立ちはだかる「6つの壁」
ここでは40代夫婦、夫は会社員で年収600万円、妻はパートで働いているという前提で考えてみましょう。
第1・第2の壁 「100万円」で住民税、「103万円」で所得税
まず年収が「100万円」を超えると、住民税を納付しなければいけなくなります。さらに103万円を超えると所得税の納付義務が発生します。だから多くの人が「103万円の壁」で収入を抑えようとするのです。
第3・第4の壁 「106万円」で条件付きで社会保険料、「130万円」は無条件
収入が増え、「106万円」を超えると、月収や勤続時間、パート先の会社の規模など、一定の条件にあてはまれば、妻自身が健康保険や厚生年金などの“社会保険料”を払うことになります。さらに年収が「130万円」を超えると、“無条件に”社会保険料の納付義務が発生します。
「106万円の壁」と「130万円の壁」は「社会保険の壁」とも言えますが、夫の扶養から外れることで大きく手取りが減少してしまうのです。
第5・第6の壁 「150万円」で夫の手取りに影響、「201.6万円」で配偶者控除がゼロ
年収が150万円を超えると、夫の手取りに影響が及びます。課税所得から控除できる配偶者特別控除が減り始めるからです。
そして、妻の年収が201.6万円を超えると配偶者控除は“ゼロ”になります。「150万円の壁」、「201.6万円の壁」は「配偶者特別控除の壁」とも言えます。
不用意に超えてはならないのが「106万円の壁=社会保険の壁」
6つの壁の中でも、とりわけ注意が必要なのが「社会保険の壁」(106万円)です。他の壁は、そこを超えても段階的に手取りが減りますが、「社会保険の壁」は手取りに大きな影響を与えます。
居住地などで違いはありますが、「社会保険の壁」を1円でも超えると、年間の社会保険料は概ね18万円程度になり、一気に手取りが減ってしまいます。
もちろん社会保険の納付額が増えれば、保障も手厚くなりますが、1年ではほとんど影響はありません。「社会保険の壁」は不用意に超えてはならない壁なのです。
壁にこだわり過ぎないで!手取りが減る以上のメリットもある
これらの壁について知っておくことは必要ですが、手取りが減るというデメリットを上回るキャリアアップが望めるなら、壁にしばられる必要はありません。人生100年時代を見据えた長期的なキャリア形成を考えたほうがいいのではないでしょうか。
文・高村阿木夫(現役銀行員のマネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
(2021年10月29日公開記事)
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