まもなく年末調整の季節、正社員として働いている女性の中には、「専業主婦じゃないと夫の扶養に入れない」と思っている人も多いのではないでしょうか。実は、正社員でも配偶者控除や配偶者特別控除の対象になる場合があります。
収入が「103万円の壁」「201.6万円の壁」を超える場合でも……
配偶者控除は、給与収入が103万円を超えると使えなくなります。いわゆる「103万円の壁」です。収入が150万円を超えると配偶者特別控除が少しずつ減り、201万6,000円を超えると配偶者特別控除が使えなくなります。
社員で働いていれば、たいてい年間の給与収入が201万6,000円を超えるので、「配偶者控除や配偶者控除が使えない」と思うでしょう。
正社員でも控除の対象になるかもしれないのは、産前産後休暇・育児休業休暇をとった場合です。
自分の育休・産休の期間を確認する
たとえば月収25万円の人が3月から産休、続いて育休をとった場合、給与収入は1月、2月分の50万円となります。
産休中は出産手当金として給料日額相当分の約3分の2が、育休中は育児休業給付金が当初半年は給料日額相当分の67%、半年経過後は50%の給付が受けられます。
ただこのお金は非課税です。結果として今年の給与収入は50万円ということになります。つまり例年であれば超えている「103万円の壁」や「201.6万円の壁」を超えていない今年に関しては、夫の配偶者控除を利用できるのです。
夫の扶養に入ったら税金はいくら安くなる?
仮に夫の年収が250万円~400万円で、妻の年収が50万円とします。
夫の配偶者控除を利用した場合、所得税は38万円×5%=1万9,000円、住民税は33万円×10%=3万3,000円の合計5万2,000円安くなります。そして、夫の税率が高いほど税金が安くなります。
次の年に子どもを保育園に入れて職場復帰を考えている場合、年末調整で決まる税金の額が来年の保育料に影響します。面倒がらずに今年産休・育休の期間があった人は、年末調整の前に確認しておきましょう。
もうすでに職場復帰している人で知らなかった……という人は、5年前までさかのぼることができるので税務署に問い合わせてみてください。
夫が育休をとった場合はどうなる?
最近では、妻が産休や育休から会社に復帰した後、夫が育休をとる場合も増えてきています。夫が育休を取ると、妻が育休を取っていた時に比べて一家の収入はどれくらい減るのでしょうか。
例えば夫の給与が30万円とすると、ざっくりですが、給与から所得税、住民税、社会保険料が差し引かれ、手取りは8割の24万円です。また妻の給与が25万円だった場合、手取りはざっくり8割の20万円です。
この夫婦の収入の変化を、妻が育休で夫が働く場合、妻が育休を終えて職場に復帰、夫が育休をとった場合とで比べてみましょう。
なお育休期間中は給与がもらえませんが、社会保険料が免除されます。その条件の一つは、「育休期間に月末が含まれていること」。例えば、11月1日から11月30日まで1カ月育休を取得すると月末を含んでいるため11月分の社会保険料が免除となります。
妻が育休で夫が働くと一家の収入は、最初は「40万7,500円」
妻が育休を取った月は、育児休業給付金が25万円の67%で16万7,500円もらえます。夫の手取りは24万円とあわせて、一家の収入は合計で「40万7,500円」です。
ただ半年後には「36万5,000円」になっている
しかし、半年経つと、妻の育児休業給付金は25万円の50%となり12万5,000円まで減ります。夫の手取り24万円と合わせると一家の収入は「36万5,000円」です。
妻が職場に復帰、夫が育休をとると「40万1,000円」
もし夫が1カ月育休を取ると、育児休業給付金は30万円の67%(20万1,000円)なので、手取りの24万円と比べて1カ月で約4万円、収入が減ります。ただ妻は職場復帰しているので20万円の手取り収入がありますから、一家の収入は「40万1,000円」です。
もちろん、夫も育休をとらずに夫婦で働けば収入はもっと増えますが、ベビーシッター代もかかります。それに、収入の多寡だけで育児の方針を決められるものでもないでしょう。
ただ、こうした仕組みを知っておけば夫の育休取得を含めて計画しやすいはずです。今はまだ妊娠・出産の予定がない家庭も、産休・育休をどのように取るか夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか。
文/編集・dメニューマネー編集部
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