「ジューンブライド」という言葉があるように、6月の花嫁は幸せになれると言われていますが、結婚するのが最もお得なのは実は「12月」です。それこそ、大みそかと元日、たった一日違うだけで11万円も給料の手取りが変わるのです。
お得な理由は「配偶者控除」
サラリーマンやOLなどの会社員は年末、遅くとも年始に職場で「源泉徴収票」を受け取ります。そこに「配偶者控除」という項目があります。既婚者は一定の条件を満たすと、この配偶者控除の対象となります。
配偶者控除が適用される基準はいくつかありますが、そこには、配偶者の給与収入が103万円以下であることのほかに、「12月31日に結婚しているかどうか」も含まれます。
配偶者控除は、税制上は1年のうちどのタイミングで結婚しても、一律38万円として所得から引かれます。
たとえば2021年12月31日に結婚すれば、2021年はたった1日しか結婚していなくても1年分の控除を受けられます。1年間の配偶者控除をたった1日で受けられるのです。
配偶者控除とは家族を養うことに対する「経費」という意味合いがあります。12月31日に結婚したとすると、(理論上は)家族を養った期間はたった1日です。これに対して1月に結婚した人は、年末までに12ヵ月養ったことになります。
それぞれかかった「経費」は大きく異なるはずですが、受けられる控除の額はまったく同じなのです。
年収400万円なら手取りが11万円ほど増える!
配偶者控除という制度の特徴が最も大きく表れるのが年度替わりのタイミングです。1月と12月ではお得さが大きく変わります。もちろん、12月がお得です。
「12月の花嫁」は一体、どれだけお得なのでしょうか。
もし本人が所得金額400万円の会社員であれば、給料から引かれる税額はだいたい77万円です(所得税約37万円、住民税約40万円)。
結婚し、配偶者控除の適用を受ければ、その分納める税が減り、手取りが増えるわけです。その額はおよそ11万円4000円(所得税7万6000円、住民税3万8000円)です。納める税額は65万円ほどということです。
たった1日の差で手取りが11万円もかわるなんて驚きです。
大人の損得勘定 事実婚はやはり損
配偶者控除には注意点もあります。
配偶者控除が適用されるには、民法が定める配偶者でなければなりません。最近では婚姻届を出さないカップルもいますが、内縁の妻や同性婚では配偶者控除を受けることができません。
また、控除の適用には「生計を一にする」という条件もあります。夫婦が離れ離れに暮らし、それぞれの仕事で生計を立てている場合にも控除を受けることができません。
家族のあり方を規定する民法や税制が時代の流れに追いついていない問題点が、ここに表れていると言えます。
(2021年11月10日公開記事)
文・高村阿木夫(現役銀行員のマネーライター)
編集・dメニューマネー編
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