世界のお金持ちたちが移住したがる国はどこだろうか。南アフリカの調査会社ニュー・ワールド・ウェルスが実施した調査から確認してみよう。
世界の観光客に人気のヨーロッパの国が1位かというと、そんな結果にはなっていない。1位の国はどこ?
お金持ちの移住先国ランキング
ニュー・ワールド・ウェルスの調査では、金融資産を100万ドル(約1億1,300万円)以上保有しているお金持ちを対象に、2019年における移住先を調べている。
以下が移住先国のランキングだ。国別の外国人旅行者の受入数ランキングも別の表として紹介するので、比較してみてほしい。
順位 | 富裕層の移住先ランキング |
---|---|
1位 | オーストラリア |
2位 | アメリカ |
3位 | スイス |
4位 | カナダ |
5位 | シンガポール |
6位 | イスラエル |
7位 | ニュージーランド |
8位 | アラブ首長国連邦 |
9位 | ポルトガル |
10位 | ギリシャ |
1位は「オーストラリア」だった。オーストラリアでは2019年の1年間に、富裕層が1万2,000人増えたという。2位の「アメリカ」では富裕層が1万800人増え、3位の「スイス」では1年間で4,000人増えたという。
ちなみに都市別のランキングでは、1位が「シドニー」(豪州)、2位が「ジュネーブ」(スイス)、3位が「メルボルン」(豪州)となっている。
相続税や贈与税が課税されない「豪州」
次に外国人旅行者の受け入れ数を見ていこう。こちらは観光庁のデータで、先ほどのランキングとは作成主体が異なることにはご留意いただきたい。
順位 | 外国人旅行者の受け入れ数ランキング |
---|---|
1位 | フランス |
2位 | スペイン |
3位 | アメリカ |
4位 | 中国 |
5位 | イタリア |
6位 | トルコ |
7位 | メキシコ |
8位 | タイ |
9位 | ドイツ |
10位 | イギリス |
このように、観光客が多く訪れる国とお金持ちが多く移住している国は、ランキングがまったく異なっている。特に移住先で1位のオーストラリアは、外国人訪問者の受入数ランキングではTOP 30にも入っていない。
オーストラリアがお金持ちに人気の理由は、相続税や贈与税が課税されない国であることや、医療レベルが高いこと、教育レベルも世界的にみて高水準にあることなどが挙げられている。そのためお金持ちの家族にとって、かなり有力な移住先となっているわけだ。
このほか、犯罪発生率の低さや、過ごしやすい気候であることも移住のメリットの1つだ。また、オーストラリアで永住ビザを取得できれば、ニュージーランドでも永住者とみなされることも、特筆すべき点といえる。
最もお金持ちが流出した国は「中国」
ちなみにニュー・ワールド・ウェルスのレポートでは、お金持ちが多く流出している国も紹介されている。1位は「中国」、2位は「インド」、3位は「ロシア」だ。2019年に中国からは富裕層が16,000人流出した。香港問題などの懸念も少なからず影響しているようだ。
ニュー・ワールド・ウェルスは毎年こうしたランキングを発表している。各国における税制の変更や治安などの変化などによって順位は変わっていくので、今後トレンドがどう変わっていくのか、引き続き注目していきたい。
(2021年11月11日公開記事)
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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