連載 そのコトバ、子どもに説明できますか? 第14回
「収入」と「所得」の違いを説明できますか? 会社員で確定申告を自分で行っていない限り、今回のテーマである「収入」と「所得」の違いを意識する機会もあまりないだろうと思います。
収入は「総額」、所得は「残った金額」
収入よりも「年収」という言葉の方が身近かもしれませんが、年収はあくまで一般的に使われている言葉であって、正式には「収入」です。
細かい説明を除けば、会社員にとっての収入とは、毎月の「給料」や夏冬や臨時にもらえる「賞与」(ボーナス)などの合計額のことで、税金などが「引かれる前の額」です。一方、所得は収入から経費や税金を引いて「残った金額」のことを指します。
収入……給料や賞与の合計で、税金が引かれる前の額
所得……収入から経費や税金などを引いた後の額
ちなみに、個人事業主にとっての収入は少し異なります。Aという商品を売る事業をしている場合、Aを売って得た金額の合計が収入です。
所得は10種類に分類される
所得といっても、給与だけではありません。法律では10種類に区分されます。
(1)利子所得
(2)配当所得
(3)不動産所得
(4)事業所得
(5)給与所得
(6)退職所得
(7)山林所得
(8)譲渡所得
(9)一時所得
(10)雑所得
所得は収入から経費を引いて「残った金額」だと説明しました。会社員にとっての経費は、基本的に会社が負担しています。自動的に「給与所得控除」という形で収入に応じて一定額が引かれる構造になっています。
年収が同じでも所得が異なる場合は珍しくない
実際には「控除」には給与所得控除以外もあります。誰でも適用される基礎控除、結婚していれば配偶者控除、家族がいれば扶養控除などです。これらが差し引かれて、最終的な税金算出のベースとなる「課税所得」が決まります。
表面上は同じ年収であっても、その人の置かれている状況や立場(経営者なのか会社員なのか、家族がいるか・いないかなど)によって、実は課税所得が大きく異なるわけです。
収入と所得の違い、所得にも種類があること、そして同じ収入(年収)であっても所得は大きく異なる場合があること──。こうしたことはなかなか意識することはありませんが、毎月もらっている給与の明細を見て一度確認してみてはいかがでしょうか。
(2021年11月12日公開記事)
文・若杉篤史(RAKAN RICERCA代表)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
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