FRBがテーパリングを決定 今後株価はどうなる?【連載・第15回】

2022/01/27 20:15

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今では世界中のニュースをほぼリアルタイムで読むことができますが、金融や経済のニュースは難しい言葉も多く、「結局このニュースを資産運用にどう活かせば良いのか分からない……」という人も多いでしょう。 本連載では資産運用初心者向けに、経済ニュースをどのように読み解いていけば良いか解説していきます。 21マスのうえで、4人のプ

今では世界中のニュースをほぼリアルタイムで読むことができますが、金融や経済のニュースは難しい言葉も多く、「結局このニュースを資産運用にどう活かせば良いのか分からない……」という人も多いでしょう。

本連載では資産運用初心者向けに、経済ニュースをどのように読み解いていけば良いか解説していきます。

21マスのうえで、4人のプレイヤーが動いている金融市場

この連載を通じて「金融市場」と呼ばれるものの正体は、21マスのうえで、4人のプレイヤー(中央銀行、金融機関、機関投資家、個人投資家)によって行われるマネーの動きそのものと説明しています。21マスは以下の通りです。

米国欧州日本中国新興国
為替1591317
債券36101418
株式37111519
不動産48121620
商品21

先日、非常に重要な経済ニュースが飛び込んできました。「米国の中央銀行(FRB)が11月から量的緩和の縮小(テーパリング)に着手することを決定した」というニュースです。今回は、こちらのニュースについて見ていくことにしましょう。

【参考:日経新聞】
米量的緩和、今月から縮小 コロナ危機の政策 転換資産購入は月150億ドル減、来年半ば終了
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77247490U1A101C2MM0000/

FRBがテーパリングを決定

この連載で再三お伝えしてきましたが、4人のプレイヤーのなかで中央銀行は特別な存在です。なぜなら、21マスに流すマネーの総量(言い換えれば21マスの面積)を変動させることができるためです。特に米国経済は金融市場の中心地なので、米国の中央銀行であるFRBの動向が極めて重要ということは、本連載で何度もお伝えしてきました。

これまでFRBは、大規模な金融緩和を行なって、大量のマネーを21マスに供給してきました(正確に言えば、FRBが直接21マスに供給しているわけではないですが、結果的にそうなっているので、便宜そのように表現しています)。そのおかげで、マスによって濃淡はあれど、株式や不動産といった資産価格は大きく上昇してきました。

しかし今回、FRBはその大規模な金融緩和(国債などの資産購入量)を少しずつ減らすことを発表しました。順調にいけば、2022年半ばには資産購入量がゼロになります。この「資産購入量を少しずつ減らしていくこと」を「テーパリング」と呼びます。テーパリングについて第5回でも言及していますので、そちらも合わせてご覧頂ければと思います。

引き続き巨額のマネーが市場に供給され続ける

「今後は21マスに流れ込むマネーの量が減るので、資産価格(株価など)には下押し圧力がかかるのではないか」と感じた人がいるかもしれません。鋭い指摘ですが、しばらくは資産価格の上昇は続くでしょう(あくまで筆者の予想です)。

なぜなら、テーパリングはマネーの供給量を減らしていくに過ぎないためです。現在は月1,200億ドル(約13兆5,000億円)の資産を購入していますが、今回決定した1ヵ月あたりの減少量はわずか150億ドル(約1兆7,000億円)に過ぎません。1兆7,000億円は巨額に感じると思いますが、それを遥かに上回る額が、テーパリングが完全終了するまでの間も市場に供給され続けるわけです。

野球に例えれば、今は8回裏くらいか

そうはいっても、壮大な金融相場の最終局面に近づいてきていることは事実でしょう。野球に例えれば、今は8回裏くらいではないでしょうか。今後は、「いつ利上げをするか」「積み上がったバランスシートをどのように減らしていくか」ということに注目が集まります。

これらに関する具体的なニュースが増えてきて、市場関係者の多くが織り込んだら、ゲームセットの宣告は近いでしょう。いつまでも無理矢理21マスの面積を大きくし続けることはできません。どこかのタイミングでは、マネーが逆流して、21マスの面積が小さくなり、あらゆる資産価格が下がりやすくなる局面は来るでしょう。

数ある経済ニュースのなかでも、2021年の最大のハイライト

今回取り上げたニュースは、これまでの金融市場のストーリーを理解しており(ストーリーの重要性に関しては第3回をご覧ください)、中央銀行の金融政策にある程度詳しくないと重要性が分かりづらいと思います。しかし、極めて重要なニュースです。事前に予想されていたこととはいえ、数ある経済ニュースのなかでも、2021年の最大のハイライトと言えるのではないでしょうか。

重要なことなので繰り返しお伝えしますが、4人のプレイヤーのなかで中央銀行は特別な存在であり、なかでもFRBは最重要プレイヤーです。今後は、ブルームバーグやロイターなどの主要メディアを通じて、利上げの時期をほのめかすようになるでしょう。FRBに関するニュースは、引き続き丹念に追っていきましょう。

(2021年11月22日公開記事)

文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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