YouTubeライブの「投げ銭」(スーパーチャット、スパチャ)機能。使ったことがある人も増えてきたはずだ。YouTuberにとって投げ銭は、広告収入に加えての新たな収入源となるが、税務上はどのような扱いになるか考えたことはあるだろうか。
「投げ銭」の税制上の扱いは?
結論から言えば、YouTubeライブで得た投げ銭は、課税対象の「所得」として扱われる。税制上、所得は10種類に分類されるが、以下のどの所得にあてはまるか考えてみてほしい。
・利子所得 |
・配当所得 |
・不動産所得 |
・事業所得 |
・給与所得 |
・退職所得 |
・山林所得 |
・譲渡所得 |
・一時所得 |
・雑所得 |
答えは「雑所得」だ。ちなみに支給された公的年金やシェアリングエコノミーで得た所得なども雑所得に分類される。
最高税率は所得税と住民税合わせて55%
雑所得を含む所得税の最高税率は45%で、これに住民税(課税所得の10%)も加わると、最高税率は55%となる。つまり、YouTubeライブで得た投げ銭に対する最高税率は55%ということになる。
ちなみに所得税は収入に応じて課税率が上がる「累進課税制度」が採用されており、以下が課税所得の金額と税率の表だ。参考までに、目を通してほしい。
課税所得に対する税率 | |
---|---|
課税所得額 | 税率 |
1,000円〜1,949,000円 | 5% |
1,950,000円〜3,299,000円 | 10% |
3,300,000円〜6,949,000円 | 20% |
6,950,000円〜8,999,000円 | 23% |
9,000,000円〜17,999,000円 | 33% |
18,000,000円〜39,999,000円 | 40% |
40,000,000円〜 | 45% |
最高税率となる4,000万円以上を投げ銭だけで得る人はごく少数だと考えられるが、仮に投げ銭で年間200万円の収入を得た場合は、所得税の10%と住民税の10%の計20%分を税金として支払わなければならない。
そのことを忘れて税金を支払うための現金を用意しておかないと、納税の際に苦しむことになる。所得税や住民税について知らないYouTuberは要注意だ。
ちなみにYouTubeライブの投げ銭に関しては、約30%が手数料として運営側に差し引かれるため、約70%がYouTuber側の取り分となる。この約70%分が課税対象となる。
誰しも税金に関する知識を
所得と税金に関する知識は、YouTuber以外の人でも必須だ。そして、もしあなたが従来はなかった稼ぎ方で所得を得ている場合でも、基本的には所得が発生している以上、課税が行われる。この点は忘れないようにしたい。
(2021年11月20日公開記事)
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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