「日経平均が前日とまったく同じ」になる確率は1万分の1以下? 以前あったのはいつ?

2021/11/22 07:00

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【連載】日経平均ってなんだろう? 1分解説 第15回 日経平均は毎日変動しますが、実は前日とまったく同じになることがあります。たとえば「2万9899円34銭」といった具合に7桁の数字が並びますが、下4桁が同じになるだけでもその確率は1万分の1(10の4乗)です。験を担ぎたがる投資家の多くはこうした数字遊びを楽しみ、相場

【連載】日経平均ってなんだろう? 1分解説 第15回

日経平均は毎日変動しますが、実は前日とまったく同じになることがあります。たとえば「2万9899円34銭」といった具合に7桁の数字が並びますが、下4桁が同じになるだけでもその確率は1万分の1(10の4乗)です。験を担ぎたがる投資家の多くはこうした数字遊びを楽しみ、相場の予想に花を咲かせます。験を担ぐ投資家は今の相場に何を思っているのでしょうか。

直近の前日比ゼロはバブルまっただ中の1989年

日経平均が前日終値とまったく同じだったのは、バブル経済まっただ中の1989年1月12日(木)、日経平均は前日と同じ3万1143円45銭で取引を終えました。

毎日変動する日経平均ですが、1000円以上変動する日もあれば、数円しか変動しない日もあります。変動の幅が100円未満の比較的幅が小さい場合に限っても、前日と同じ数字が並ぶ確率は10の4乗、1万分の1。まさに珍事です。

当時は相場関係者の間で株価上昇の「吉兆」か、それとも暴落を告げる「凶兆」か、と面白おかしく騒がれたそうです。

ただつい最近も前日比ゼロがあったが……

1万分の1以下の確率ですからそうそう起きそうにありませんが、実は最近も「前日比ゼロ」はありました。それは2020年10月1日です。

この日、東証では取引開始直後にシステム障害が起き、東証はその日のすべての銘柄の取引を停止しました。

東証で取引が行われるのは午前9時からですが、それ以前から株式売買システム「arrowhead」内部ではさまざまな処理が行われています。

異常が起きていることが分かったのも、まさに午前9時より前。午前7時過ぎだったそうです。

東証によると、同社がシステム開発企業などとともに確認し、障害対策として「arrowhead」と取引参加者をつなぐネットワークの接続を遮断。東証は午前9時より前に、全銘柄の売買をしないことを発表していました。

しかし、ネットワークが遮断されるまでに、既にシステム内で注文が約定(売買注文が成立すること)し、「取引参加者への応答もできず約定注文が滞留している状況であった」(東証リリースより)といいます。

東証はシステムを再立ち上げして、その日じゅうに取引を開始しようとしましたが、検討の結果、その日の売買を終日停止することをお昼前ごろに決めました。

さて、この日の日経平均株価をどうするか。日経平均株価を算出している日経新聞社はこの点について、「前日の終値を10月1日の終値と認定する」という決断を下しました(この時は翌日、10月2日には取引が再開されています)。

例外的ではありますが、この時も「前日比ゼロ」だったわけです。

2020年の前日比ゼロは吉兆?凶兆?

投資家は験担ぎが好きです。珍事が起これば、次に起こるのがいいことか悪いことかと話に花を咲かせます。

1989年の時は、日経平均はその年の大納会で史上最高値の3万8915円87銭を付けました。しかし、それはバブル崩壊の入り口でもありました。

2020年のシステム障害による「前日比ゼロ」の後はどうでしょうか。日経平均はコロナショックで大きく下落したものの、2021年9月に31年ぶりの高値を付け、現在は上に向かうのか下に向うのかはっきりしない状態が続いています。

こうした中、日本銀行が発表した10月の企業物価指数は40年ぶりの高い伸びとなりました。2020年の「前日比ゼロ」はインフレという新たな課題の前兆、凶兆だったのかもしれません。

文・高村阿木夫(現役銀行員のマネーライター)
編集・dメニューマネー編集部

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