相続に備えたい

「もうひとつの家庭」を持つ富裕層が愛人に資産を渡す方法【連載・第4回】

2022/01/27 10:15

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お金で買えないものはない?「恋愛×マネー」研究 第4回 本連載では、恋愛におけるさまざまなシーンを題材にし、マネー・お金を軸にした見方・考え方を検証。物心両面で満ち足りた、自分の理想の暮らしを手にするための戦略を考察していきます。 家庭の外に「もうひとつの家庭」を持つ富裕層 富裕層が家庭の外に、「もうひとつの家庭」を持

お金で買えないものはない?「恋愛×マネー」研究 第4回

本連載では、恋愛におけるさまざまなシーンを題材にし、マネー・お金を軸にした見方・考え方を検証。物心両面で満ち足りた、自分の理想の暮らしを手にするための戦略を考察していきます。

家庭の外に「もうひとつの家庭」を持つ富裕層

富裕層が家庭の外に、「もうひとつの家庭」を持つことは決して珍しいことではありません。いわゆる「愛人」です。富裕層でなくても愛人を囲っている人はいるかもしれませんが、愛人は浮気と違い、経済的支援を前提とした付き合いのため、ある程度の経済的余裕がないと成立しません。

筆者は大手証券会社の営業マンだったとき、愛人を囲う富裕層(非上場の自動車部品メーカー会社のオーナーA社長)と、A社長の愛人(Bさん)の2つの口座を実際に担当したことがあります。あれは東海地方の某支店に着任したときです。

すべての口座において、前任者から詳細な引き継ぎを受けるのですが、住所も名字も世代も異なる2つの口座が、ひとつのファミリーとして登録されていました(証券会社内の顧客管理システムの話です)。前任者がそのように登録したようです。

筆者が「あれ?この2つの口座は登録ミスですかね?」と質問すると、前任者は「ああ、それはA社長の愛人だから。Bさんに何か金融商品を提案するときは、必ず事前にA社長の許可を取ってね」と引き継ぎを受けました。なお、A社長は「本来の家庭」も持ってます。

愛人に資産を渡す方法

当時、A社長はまだ50代(ちなみにBさんは30代)でしたので、筆者の担当中に、遺産配分の話題はあがりませんでした(厄介事を避けるため、筆者が意図的に話題を振らなかったということもありますが・・)。

もし、A社長が「相続対策として、Bさんにも資産の一部を渡したい」と言ったら、どのような方法が想定されるのでしょうか。一般的には、以下のような方法が挙げられます。

(1) 生前贈与を活用する
(2) 生命保険の受取人にする
(3) 正しい形式にて遺言を作成する
(4) 自社もしくは資産管理会社の経費として資金を還流させる

一つひとつ見ていきましょう。

王道は生前贈与 生命保険は遺言とセットにて

(1)は最もポピュラーな方法です。年間110万円までは非課税のため、10年あれば1,100万円、20年あれば2,200万円を非課税で移転できます。もう少し移転スピードを早めたいときは、10%の税負担がかかりますが、一回ごとの贈与金額を200万円にしても良いでしょう。

(2)と(3)はセットで実施されることが一般的です。多くの生命保険会社は、死亡保険金の受取人の範囲を「2等親以内の血族まで」としています。相続トラブルや保険金殺人の発生を懸念しているのかもしれません。しかし、保険法第44条には「保険金受取人の変更は、遺言によって決めることができる」と明記されています。したがって、遺言にて、愛人を生命保険の受取人に指定することは有効とされています。

もちろん単純に「遺産10億円のうち、1億円は愛人のものとする」と記載しても、法定相続人の遺留分を侵害しない限りは問題ありません。生命保険が選ばれやすいのは、遺産分割協議の対象外であり、申請から1週間ほどで支払われるという即金性の高さゆえです。

しかし、遺言を活用した場合は、「本来の家庭」と愛人の接触が不可避と言えます。愛人が「本来の家庭の皆さんとは揉め事を起こしたくない」と思っている場合は、慎重は判断が必要でしょう。

経費計上しながら愛人に資金を還流

(4)は、自社もしくは資産管理会社で雇用して賃金を支払う、もしくは業務委託契約を結んで業務委託契約費を支払うという方法です。オーナー経営者でないと実行が困難な方法ですが、ともに法人の経費となりますので、利益の圧縮にも繋がります。

本来は、業務実態に見合った金額でないといけませんが、この手の還流は、ほとんど勤務実態がないことが多いと思われます。とはいえ、あまりにも高額な支払いは難しいので、(1)と同時並行で実施して、愛人のキャッシュフローを高めてあげると良いでしょう。

富裕層経営者のとっておきの節税策?

近年は、愛人よりもライトな関係である「パパ活」も富裕層の間で浸透しています。筆者は立場上、多くの「パパ」や「娘」と話をする機会がありますが、一番多いのは、パパが経営者もしくは自営業者で、(4)を活用しているパターンです。

さすがに雇用までしているパパは多くありませんが、お手当は法人の業務委託費として、飲食代は交際費として、ホテル代は出張費として経費計上するパパが多いようです。なかにはマンションを法人で社宅として借りて、家賃を経費計上しながら娘を住まわせている例もありました。

富裕層経営者にとって、愛する女性への出費は、とっておきの節税策(実際は節税とは呼べませんが……)なのかもしれません。

(2021年11月20日公開記事)

文・元証券マンの恋愛相談所長K
編集・dメニューマネー編集部

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