「銀行員」と「証券マン」、同じ金融業界の職業だが、年収はどちらが高いか考えたことはあるだろうか。銀行員よりも証券マンのほうが年収が高く、お金の使い方も派手といったイメージを持っている人も少なくないようだが、その印象は正しいのか。
銀行と証券会社の平均年収を比較
早速、銀行と証券会社の平均年収を比べていこう。上場している銀行と証券会社であれば、平均年収が公表されている。銀行と証券会社の両方を持つメガバンクなどを除き、時価総額が高い5社を比較すると、以下の通りとなる。
銀行の平均年収の比較 | |
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行名 | 平均年収 |
千葉銀行 <8331> | 7,402,000円 |
静岡銀行 <8355> | 7,397,000円 |
新生銀行 <8303> | 7,884,000円 |
京都銀行 <8369> | 6,576,000円 |
あおぞら銀行 <8304> | 8,089,000円 |
5行の平均年収 | 7,469,600円 |
証券会社の平均年収の比較 | |
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社名 | 平均年収 |
大和証券グループ本社 <8601> | 10,071,020円 |
松井証券 <8628> | 9,181,000円 |
岡三証券グループ <8609> | 9,624,575円 |
藍澤證券 <8708> | 6,376,479円 |
丸三証券 <8613> 6,856,000円 | |
5社の平均年収 | 8,421,814円 |
結果が出た。銀行5行の平均年収は7,469,600円で、証券会社5社の平均年収は8,421,814円だ。証券会社の952,214円上回っている。
年収が高いが証券会社はかなり激務?
平均年収では証券会社に軍配が上がったので、金融業界で働くことを目指すのであれば、証券会社に入社するのが正解と言えるのだろうか。短絡的にそうは言えない。
証券会社は職種によってはかなり激務であると言われており、3年以内の離職率が10%程度と言われている金融業界において、証券会社各社の離職率は10〜25%程度と高めだ。
証券会社の収益の柱の1つが、顧客が株式や投資信託を売買したときに発生する手数料だ。そのため、新規の顧客開拓のほか、銘柄の紹介などを頻繁に行う必要がある。そのため営業部門はノルマへのプレッシャーが大きい。
リサーチ部門の担当者は決算発表のピーク期に多忙を極める。日本の企業の多くが4月から翌年3月を決算期としており、四半期ごとの決算発表時期が重なる。ディーラー部門の担当者は日本市場だけではなく、夜間に開いている欧州市場や米国市場もチェックする必要がある。
ワーク・ライフ・バランスを重視するなら……
もちろん、銀行員であっても多忙な人もいるし、証券会社でも平均年収が低いケースもある。今回は銀行・証券を両方持つメガのグループを対象にしていないことも考慮が必要だろう。
しかし平均的に考えれば、「ワーク・ライフ・バランス」を重視する人であれば、銀行に就職した人のほうが人生に幸福感を感じているかもしれない?
(2021年11月22日公開記事)
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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