飛行機の中で働く客室乗務員と、空港の中で働く地上係員。同じ航空会社でも、この2つの職業ではどれだけ給料に差があるのだろうか。もしくは給与体系は一緒なのだろうか。求められる能力の違いなども含めて、解説しよう。
客室乗務員と地上係員の給与を比較
客室乗務員の平均年収は495万円前後
客室乗務員の平均年収については、厚生労働省が2019年に発表した「賃金構造基本統計調査」の結果が参考になる。この調査によれば、「航空機客室乗務員」の平均月給は34万800円で、年間の平均ボーナスは86万9,500円となっている。
平均月給の12カ月分にボーナスの金額を足すと、平均年収は495万9,100円と算出できる。
地上係員の平均年収は365万円程度
一方で地上係員、いわゆる「グランドスタッフ」の平均年収はどうか。賃金構造基本統計調査ではグランドスタッフの平均年収は調べられていないため、口コミ情報から平均年収を算出している「平均年収.jp」のデータを参考にしよう。
平均年収.jpによれば、グランドスタッフの平均年収は365万円で、320万〜410万円のレンジの人が多くいるという。
手当が多い客室乗務員の方が年収は高い
こうしたデータを参照すると、平均年収は客室乗務員の方が高いと言えそうだ。
初任給や基本給の水準は2つの職種でさほど変わりはない航空会社が多いものの、フライト給を含むさまざまな手当により、結果として平均年収は客室乗務員の方が高くなっているケースがほとんどのようだ。
求められる能力や適正について
このように給与に違いがある2つの職業だが、求められる能力や適正には共通点・異なる点があるため、参考までに紹介しておこう。
共通点は「英語力」
まず共通点としては、英語が堪能なことが求められる。たびたび最低基準とされるのが「TOEIC550〜600点以上」だが、特に国際線を有している航空会社の場合は、会話力を含め高い語学力がなければ無事内定を勝ち取ることは難しい。
それぞれで求められる能力は?
客室乗務員の場合、立ち振る舞いの部分も重要視される。また、身長の基準もあるケースが多い。ある程度身長が高くなければ、頭上の手荷物入れに手が届かないからだ。視力の基準が設けられていることもある。
グランドスタッフに関しては、立ち振る舞いや身長などよりも、トラブルに臨機応変に対応できるか、体力があるか、などが重視される傾向にあるようだ。
地上の受付カウンターではトラブルを含め、実にさまざまことが起こる。チェックインしたのに飛行機に乗っていない客がいる場合は、名前を呼びながら空港内を走って探し回ることもある。
両方とも無くてはならない職業
年収だけで見れば客室乗務員の方が上だが、業務内容や求められる能力や適正も異なるほか、どちらの職種が欠けても航空会社は成り立たないため、2つの職種に優劣をつけることはできない。
航空会社は乗客の命を預かる仕事であり、そこで働く客室乗務員やグランドスタッフも、安全運航のため最善を尽くそうとしている。平均年収には差はあるかもしれないが、飛行機に乗るときは両方のスタッフに同じくらい感謝の意を示したいものだ。
(2021年11月26日公開記事)
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
【関連記事】
・11月は残業減らすとボーナスが増えるって本当?
・初心者向け!ネット証券オススメランキング(外部サイト)
・「預金がおろせない?」銀行員が教える、親の生前にやるべき3つのこと
・株主優待をタダ取りする裏ワザとは?(外部サイト)
・「無料で保険に入れます」クレカ会社から封筒がくる理由