2021年も残すところ1ヵ月ほど。新型コロナウイルスの感染者数が大幅に減ったこともあり、今年は大晦日から正月にかけ、日本各地の神社には多くの参拝客が訪れそうだ。ここでは、年末を迎えるのを前に、神社とお金の話をしていこうと思う。神社って、儲かってるの?
そもそも神社の収入源は?
大前提として、神社は宗教法人によって運営されており、お金を儲けることが禁止されているわけではない。
そんな神社を運営する宗教法人の主な収入源は以下などで、基本的には普通の企業と同様に、収益と支出のバランスを考慮しながら、宮司(ぐうじ)や氏子(うじこ)の給与が決まっていく。
・お賽銭
・お祓いや七五三などの祈願・祈禱による報酬
・お守りや絵馬などの販売による報酬
・祭礼時の奉納金などの寄付金
上記の収入源からの収入が多いほど宮司や氏子の給与を高くできる。言い換えれば、宮司や氏子などの神職に就く人の給与が日本人の平均年収より多ければ、神社は儲かっていると言えるだろう。
神職の平均年収は民間企業より低い
給料情報ポータルサイト「給料BANK」の調査では、神職に就く人の平均年収は「293万2,000円〜382万6,000円」程度だという。職業情報サイト「キャリアガーデン」では、平均年収は「300万円前後」と紹介されている。
これらの金額を民間企業の平均年収と比べてみよう。国税庁が実施した2020年分の民間給与実態統計調査によると、民間企業の平均年収は433万円。つまり、神職に就く人の平均年収は民間企業よりも低い。この結果から、神社経営の苦しい状況が見えてくる。
<平均年収の比較>
神職の平均年収(出典:給料BANK) | 293.2万〜382.6万円 |
---|---|
神職の平均年収(出典:キャリアガーデン) | 300万円前後 |
民間企業の平均年収(出典:国税庁) | 433万円 |
実際、経営状況が厳しい神社は多数ある。少し古いデータで恐縮だが、全国の神社を包括する組織である「神社本庁」が公表した2015年の調査結果によると、年間の法人収入が300万円未満の神社は全体の約60%にも上るとのことだ。
「宮司丸儲け」でも「氏子丸儲け」でもない
なぜ経営難に苦しんでいる神社は多いのか。働き手となる氏子不足なども要因の一つとして挙げられるが、特に地方の神社の場合、過疎化による人口減少や少子化などで、お賽銭や七五三などの祈禱による報酬が減ったことが影響している。
「坊主丸儲け」という言葉がある。元手が不要な仕事であるため、収入の全てが儲けになるという意味だ。しかしいまこの時点では、宮司丸儲けにも氏子丸儲けにもなっていない。いくら元手が不要でも、宗教法人に入る収入が少なければどうしようもないのだ。
神社の現状、あなたはどう感じただろうか? ちなみに神社ではなく寺院も経営難に苦しんでいるケースが多く、日本最大の仏教宗派である曹洞宗であっても、4割ほどは年間の法人収入が300万円以下のようだ。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
画像・photojapan / stock.adobe.com(画像はイメージです)
【関連記事】
・11月は残業減らすとボーナスが増えるって本当?
・初心者向け!ネット証券オススメランキング(外部サイト)
・「預金がおろせない?」銀行員が教える、親の生前にやるべき3つのこと
・株主優待をタダ取りする裏ワザとは?(外部サイト)
・「無料で保険に入れます」クレカ会社から封筒がくる理由