2021年ももうすぐ終わる。今年はコロナ禍で経営難に陥った企業が早期・希望退職者を募集するケースが目立った。いま勤めている企業の業種によっては、あなたにとっても他人事ではないかも。もし勤め先で募集が始まった場合、手を挙げるべきか、スルーするべきか。
メリットとデメリットを整理
早期・希望退職者の募集に手を挙げることには、メリットもデメリットもある。
メリット1:退職金を多く受け取ることができる
最大のメリットは、退職金を多めに受け取ることができるケースが多いということだ。一般的には、通常の退職金に「特別優遇加算金」などが加えられて支給される。
また、募集がなくても退職することを考えていた人にとっては、「会社都合」で退職できることも大きい。会社都合での退職なら、失業給付金をすぐに受け取り始めることができるし、自己都合での退職よりも給付期間も2倍以上長い。
メリット2:転職活動の理由として正当化されやすい
転職活動をしていると、前職を辞めた理由(もしくは辞める理由)を聞かれる。リストラされたのなら悪いイメージを持たれやすいが、早期・希望退職者の募集で手を挙げた場合は、逆に好印象を持たれるケースも少なくない。
会社から不要な人材という烙印を押されたわけではなく、自らの意思で退職したからだ。事実、早期・希望退職者の募集に手を挙げた人の中には、新たな挑戦のチャンスだと捉えて退職を決意した人もおり、その中には有能な人材も少なくない。
デメリット1:一時的に安定収入が無くなる
退職金を多く受け取れるとしても、一時的に安定収入が無くなることはリスクだ。退職後、正社員として新たな職に就くことができず、生涯収入が結果的に減ってしまうケースもある。月収が減れば情緒不安定にもなりやすく、メンタルヘルス的にも心配だ。
デメリット2:ローンの審査が通過しにくくなる
「ローン」についても知っておきたい。企業で正社員として働いていないと、自動車や住宅のローン審査が通過しにくくなる。クレジットカードも新たに作れないケースが多い。住宅ローンを組もうと考えているなら、退職者の募集に手を挙げるのは待った方がいいかもしれない。
手を挙げるかどうか、冷静な判断を
早期・希望退職者の募集で手を挙げるかどうかは、こうしたメリットとデメリットを天秤にかけて決めるのがヨシだ。
日本では以前は終身雇用が当たり前だったが、もはやその仕組みは限界を迎えようとしている。右肩上がりで日本経済が成長しているときは、個々の社員の能力をさほど気にしなくても企業は業績を向上させることができたが、時代は大きく変わった。
日本が低成長時代に突入する中、成果主義の外資系企業に対抗するために、日本企業も人材の新陳代謝を促進せざるを得なくなっている。そのため、早期・希望退職者を募集する日本企業は今後もっと増えてくるかもしれない。
重要なことは、もし募集が始まったとき、自分にとって有利か不利かを冷静に考えられることだ。この記事で紹介したメリットやデメリットを覚えておけば、きっと役に立つ。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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